スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

今日の一言

2006年02月28日 09:06

 心底眠いときには、欠伸が出る余裕すらない。
スポンサーサイト

「黄色い目をした猫の幸せ」高里椎奈、読了。(☆☆☆★)

2006年02月28日 09:05

 それは何の変哲もない、ただの箱に見えた。幾分、湿った感触があるのは、昨日の雨のせいだと思った。…しかし中にあったのは遺体だった。深山木薬店の三人が事件の謎に迫る「薬屋探偵妖綺談」シリーズ第2弾。文庫版にて再読。

 少年のバラバラ死体。冒頭から猟奇的な要素を備えつつ始まります。凄惨な事件を扱いつつ、フーダニット・ハウダニット・ホワイダニットと、事件関係者の中から理路を経て犯人が導き出される、本格ミステリの趣向を凝らしてあることもさることながら、そのための伏線が巧いこと縦横にちりばめられていて、舌を巻きます。本シリーズは本格ミステリというよりもライトノベルとしての性質が強いのですが、ファンタジーとして妖怪たちが人間社会に溶け込んだ中で、「同じ世界で生きる」という言わば彼らなりの摂理を物語の中で語ることにより、人間と妖怪との間の秩序の仲介をするための探偵的行動を取る、という違和感を巧いこと押し殺し、同時にそれがミステリとしての伏線を読者から隠す手助けとしても機能させているのが、なかなかどうして、「ミステリとして」巧い試みだな、と思うのです。事件の真相にはそれほど驚きを感じなかったし、「この人を犯人にするため」に組まれたようなロジックが見受けられないこともないのですが、信仰による桔梗の忌避の伏線は巧いと感じます。死体を解体した理由といい、花を現場に散らした理由といい、まさに「木の葉は森に隠せ」はミステリの基本ですよね。
 見掛けは容姿端麗少年、深山木秋。高遠と葉山の両刑事の前で、多分過ぎるほどに可愛らしい仕種を沢山見せてくれていますが、秋の言動を見て逐一可愛い可愛い言う葉山も、歳の割に「可愛らしい」言動ばかりしている奴だな、と強く認識した「薬屋さんシリーズ」。おしぼりのヒヨコ、無性に作りたくなりました。
 さて、前作にもそれは顕著でしたが、気づいたことをひとつ。本シリーズの探偵役は言わずもがな、深山木秋なのですが、一方で物語の主人公的視点をリベザルに置くことで、秋や座木の行動理念が「妖怪と人間」という二者を取り持つためだけでなく、二者の中央に飛び込んでいく(それは大方、秋の指令によるところが大きいのだけれど)一家族であるリベザルのためでもあるから、事件の解決に力を注ぐのだ、と言うことがやがて見えてきて、冒頭から閉幕までの流れが綺麗にまとまっていますよね。この辺りなんか、少年の成長物語とも読めて、道徳的にも意味あるものになっているのではないかと思うのです。一見、非日常な世界観を秘めた物語なのですが、その根底には人間ドラマに引きも取らない人情劇(敢えて安っぽい言い方をします)が見え隠れして、柔らかく暖かい読後感を与えてくれます。
 そうそう、本作でも事件の重要な部分に人外の者が登場しているのですが…、なんだか、あっさりと隅にやられてしまったような感があるのですが。もう少し掘り下げてやることは出来なかったのかなあ。

黄色い目をした猫の幸せ
高里 椎奈〔著〕
講談社 (2005.12)
通常24時間以内に発送します。

 余談ですが…、当該事件の起きた時代は平成33年、つまり2021年前後であることが作中、明記されています。意外にアナクロな世界観かもしれません。とはいえ、人間とは時の流れの感覚が異なる妖怪たちが主人公である本シリーズ、関数を重ねているとはいえ、その時系列は割とバラけていることが後々分かってきます。この辺を追ってみるのも一興かも…。
[「黄色い目をした猫の幸せ」高里椎奈、読了。(☆☆☆★)]の続きを読む

覚え書き

2006年02月27日 14:08

「ばか! ばかばか!」
「なんだ。どーした」
「あっ。ちょっと、聞いてよ」
「なに?」
「信じらんねえ、こいつ」
「こいつがどうかしたのか」
「さっきからこいつ、煙草吸いながら掃除機掛けてんだけど」
「ああ、聞こえてた」
「吸ったそばから灰を床に落として掃除機に吸わせてんの。もう信じらんねえ」
「うーん…、それは、なんとも…」
「おい、なんとか言えよ」
「あー…、別に掃除出来てるし」
「確かに、間違っちゃあ、いないけどなあ」
「間違ってるって! どう考えてもおかしいって!」
「ほれ、この通り、床は綺麗なものでございますが」
「うーん…、見た目はそうだろうけど、気持ちの問題がな…」

「銀の檻を溶かして」高里椎奈、読了。(☆☆☆)

2006年02月25日 14:26

 燻べたような色の木の板、木の壁、木の天井…。優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子の三人が営む「深山木薬店」は、実は特殊な「探偵事務所」で…。第11回メフィスト賞受賞作品。

 「薬屋さん」シリーズ、第一弾。ミステリとファンタジーのアルペジオ、が売り文句でした。見掛けは誰が見てもファンタジーなのに、その裏側では本格派のミステリとしての要素も備えているのが強み。それゆえに、個性的なキャラクターが東奔西走するのを楽しむのもよし、キャラクター小説として読んでいるとつい見過ごしてしまうミステリの伏線を楽しむのもよし。
 雪の中に出現した巨大な「雪の妖精」、その中心から発見された少年の死体の謎。彼の母親の元に現れる、少年の幽霊…、彼に導かれたかのごとく、密室状態の家屋から消えた母親…。高橋総和と親族連続殺人事件の犯人である長田母子、彼らが本編のメイン・ラインに関わってくる重要人物なのですが、あまりフェアな登場のさせ方ではないな、と感じました。特に後者はなかなか読者が推理するための情報が不十分であると思う。小さな伏線が幾つも張られていて、謎解きのレベルは決して低くないのですが、如何せん、ライトノベルとして捉えられている認識が強いのは逆に本シリーズをミステリとして読ませることへの弱みになっていないかと不安なのですが…。
 さて…、本書は文庫化したもので、僕は再読になります。初出が1999年のことだから、文庫化まで6年掛かったことになるな…、普通はノベルスの文庫は3年後に出ることになっているので、何があったのだろうかと色々考えてしまうのですが…、読者からは待ちに待った文庫、ということになるのでしょうね。加筆修正がそこかしこになされているのが分かります。「GC(ゲームキューブ)」とか「DS(任天堂DS)」なんて単語が出たときには流石に笑ってしまいました。以前に高里氏のサイトにて、本シリーズは西暦2050年前後を想定して書かれている、というくだりがあったので、この辺りの微調整はどうするのだろうか、とも思ってみたり。あまり細かく「設定」にこだわらないことにしたのかな。
 当初は本書は「ショタミステリ」なのだと一部で言われた節がありましたが(文三のメフィスト賞選考座談会が最初だったな)、その対象であるリベザルは普通に「元気のいい男の子」として書かれていまして…、冠をつけるほどのものではない。むしろ秋の方が時折耽美な様相を呈してくるのです、今後(地の文で超美形なんて書いちゃ駄目だろうと思うのですが)。その意味では十分に「キャラミステリ」として機能しているのは確か。先述のように、ミステリとファンタジーとのバランスが求められるシリーズではありますが、その滑り出しは悪くはないと言えるでしょう。

銀の檻を溶かして
高里 椎奈〔著〕
講談社 (2005.5)
通常2-3日以内に発送します。

「そして夜は蘇る」原、読了。(☆☆☆☆★)

2006年02月24日 09:10

 ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。西新宿に探偵事務所を構える沢崎が立ち向かう難事件の背後には巨大な陰謀が隠され、鮮やかなラストシーンに向って物語はスピーディに展開してゆく。

 レイモンド・チャンドラーを敬愛する作者が、それゆえに書き上げたのだと言っても過言ではないのかもしれない一作。今の日本には、本書のような本格派のハードボイルドが稀少的なものとなりつつあるけれど(僕が単に巡り合わせの運が悪いだけかもしれませんが)、それはつまりその書き手もまた少なくなっていることであり、そして昨今、ハードボイルド小説に釣り合うような「男」の存在が稀少的なものとなっていることを示してもいるのかもしれない。
 新宿の片隅に事務所を構える探偵、沢崎が本書の主人公。一人の男の捜索の依頼が、彼の一人称によって物語は進んでいくのですが、彼が元々多くは語りたがらない性格であるために、一体何を考えて行動に移すのかも直ぐには判明しない。それゆえ、彼の背中越しにしか読者は事件を追えず、突飛な展開を繰り返し目にすることにもなっているのですが、本来、探偵というのは孤独な生き物である所以…。始めは謎だらけであった事件の全貌が、やがて彼自身の口から語られることになるとき、読者は沢崎と共に経過を追ってきたはずなのに、判明する怒涛の真相に度肝を抜くことになるのです。この辺りは少しばかり、原氏の底意地の悪さすら伺えたのですが、本書を本格ハードボイルドであると同時に、ロジカルなミステリとしても読むことが出来、結果的に完成度を高めていることを思えば些細なこと。ハードボイルド小説の切り口は、失踪した者を捜すところから始まるのが定石なのですが(笑)、本書に関して言えば、その導入からは思いも寄らない陰謀の構図が隠されていて、複雑なプロットをよくここまで練り上げたものだと感服します。
 「男はタフでなければ生きていられない」とはチャンドラーが小説にて語らせた言葉。よく言ったもので、それに習った(倣った?)本書の沢崎も、とてもタフ。言葉で誤魔化すよりもまず行動に移すところは先述の通りですが、それが理に適った彼の行動理念に従っているところが向こう見ずな若者とは違う年季の入った人生観の論理。何処までもドライで、誰にも甘えることをせず、誰の言葉も甘受しない。生きることに対して貪欲でないようでいて、その生き様は確固たる信念により動いているように見える(「死に様、ならばあるが、生き様などという言葉はない」と言われてしまいそうです)。それが甘っちょろい現代に生きる者にとっては、とても格好良い。
 沢崎と犬猿の仲、錦織警部の存在がまたいい。沢崎のかつての相方、渡辺の犯した事件が切っ掛けで、いつ何処で会っても本当に「犬猿の仲」を絵に描いたような対立の構図が徹頭徹尾、繰り返されるのだけれど、互いの能力を信用し合っているようにも見受けられます。探偵と警察の構図って、突き詰めたらこんな感じになるんじゃないかと思うくらいなのですが、この「信用の構図」が「信頼」にならないギリギリのところにあるのが、男たちの挽歌を思わせて好きです。

そして夜は甦る
原 リョウ著
早川書房 (1995.4)
通常2-3日以内に発送します。

今日のフォト:「始発電車」

2006年02月22日 09:30

P2221986.jpg

「予知夢」東野圭吾、読了。(☆☆☆★)

2006年02月22日 09:24

 「容疑者Xの献身」により知名度が上がったであろう、物理学者湯川と刑事草薙のコンビが、一見オカルト現象にしか思えぬ事件の謎を現実的に解く、理系ミステリ、「探偵ガリレオ」シリーズ。
 物理ではこんなことも出来るのだ、という物理の講義のようだった前作は、なるほど、「ガリレオ」の渾名を抱く湯川が非現実的な現象を超現実的に解き明かすところが見所でした。が、「物理」の知識が先に立ってしまっていて、そのために殺人事件のトリックを解明する推理パートとのバランスが巧く取れていなかった感が否めなかったのです。つまり物理の知識がなければトリックを解明する過程は勿論、トリックそのものを楽しむことが出来なかった、超が付くほど理系ミステリだった。本書は普段「物理」に明るくない読者であっても、そういうことだったのか、と膝を打てる馴染みやすい内容になっています。
 しかもトリック一本モノではなくて、オカルトの様相を思わせていた事件が現実的な解釈により解明されることによって、事件の真相すらもガラリと姿を変えて現わされる。「そんなことが現実に起こるのか」という非現実が現実に反転するトリックの解明だけでなく、その一歩先で人間ドラマの絵解きもなされるところが、前作よりも親しみやすくなった所以だと思われます。
 一方で、不可能犯罪の度合いが極端に減少してしまったのは、仕方がないとはいえジレンマティック。理系学派出身の東野氏の本領発揮である当シリーズが、少しだけ一般人のラインに近づけられたことによって、ミステリ短編集としての完成度は上がっているので、一般読者としては嬉しいのですけれどね。

予知夢
予知夢
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2.22
東野 圭吾著
文芸春秋 (2003.8)
通常24時間以内に発送します。

「QED 神器封殺」高田崇史、読了。(☆☆☆★+★?)

2006年02月22日 09:23

 和歌山での滞在を延ばした桑原崇たち一行。そこで待ち受けていたのは、奇妙な殺人事件と、自らを「毒草師」と称す男・御名形史紋だった。和歌山を拠点に起きる数々の奇妙な事件の謎。古の神々と三種の神器に隠された真実とは?

 博覧強記の薬剤師探偵、桑原崇の怒涛の歴史推理。QEDシリーズ、今回は日本の歴史の最古の位置にも相当する、三種の神器についての考察。寺院神社の名前から、神を祭る地名から、古典に登場する人物の名前から…、言葉の響きに寄るイメージの「縛り」はもっとものこと、連鎖的に導かれる日本語特有の「騙り」による類推解釈はいつもながら目を見張るものがあります。
 いい加減、歴史の勉強を伴った観光案内のスタイルが定着してしまっていますが、高田氏もこの歩調で書く路線を定着させたのでしょうか(ventusシリーズもあることだし)。とまれ、現実に起こる殺人事件と、歴史ミステリとしての謎解きとの乖離も見過ごせないとはいえ、本書に関して言えば、その「歴史の解釈」のインパクトがあまりに大き過ぎて、読者の頭からは殺人事件の真相など吹き飛んでしまいそうです(笑)。あまり凝ったことをせず、自ら犯人を明かしてしまっていたり、毒殺の方法が殆ど味付けに過ぎないことも要因ですが、首と手を切断された死体が梵字の見立てになっているとは流石に思いも寄りませんでしたが。
 本書では、謎解きの詰めの部分が袋綴じになっています。パラパラとページをめくって見ては、本書で一番の大掛かりな謎解きが露見してしまうため、という配慮からですが、これは大正解だった模様。もう、読み進めるうちに戦慄を覚え、高笑いを堪えるのに必死でした(笑い事でなく、これには度肝を抜かれます)。そう、ここまでの規模の構図を見せ付けられたら、偶然であると思うはずがない。なんらかの意図が働いていると思われて当然でしょう。作中、崇が勾玉の解釈をする際に「自分で考えた説が、たまたま既出のもののひとつと同じだった」と話す場面がありますが、仏閣の研究をする人が日本地図の大判を眺めるうちに、この「禁足」の構図に気づいた例は少なくないのではないかと思われます(小川光三氏の「レイライン」などはまさにそれですね)。だから高田氏の解釈も、この大伽藍の「構図」の一部なのかもしれませんね。そう思うと…、なんだか、凄いとしか言いようがない。古来の日本に、日本全体に、一体、どのような意志が働いていたのか…、興味深いですね。
 崇と阿吽というかツーカーというか…、馴れ合い息の合った講義をしてみせた御名形史紋。彼もまた独特の人格の持ち主のようで強い印象を与えますね。別に崇も史紋も、お互い馴れ合うつもりは毛頭なくて、優れた研究者が互いの能力をある程度認め合う、平行線上を歩き続けるみたいな立場。凡人を置いてきぼりにする性格はなんだかコミカルでもあるのですが、今後も登場するみたいなので、ちょっと楽しみです(もしかすると誰かの恋敵として/笑)。

QED神器封殺
高田 崇史著
講談社 (2006.1)
通常24時間以内に発送します。

今日の一言

2006年02月21日 18:38

 電車は「ガタンゴトン」じゃなくて「タタンタタン」だよ。

今日のフォト:「一般道」

2006年02月21日 18:32

 街中を40キロで走行。夜であるというだけでスピーディ。
P2161963.jpg

今日の一言

2006年02月21日 18:30

 日本の一般家庭のエンゲル係数は、平均で24%だそうな。
 つい家計簿を引っ張り出して計算してしまったよ。

「空白の殺意」中町信、読了。(☆☆☆★)

2006年02月21日 08:56

 甲子園行きを目指し熾烈な闘いをくり展げている学校同士の醜い争いが、殺人事件に発展…? トリック・メーカーの著者が、密かな自信を持って読者に仕掛ける巧妙なワナ。

 高校野球を舞台背景に、「甲子園出場」という名声を握ろうと、学校関係者たちが様々な確執の探り合い、名誉の奪い合いをする…、少しばかり社会派ミステリの匂いも感じさせる筋道で、すれた本格ミステリ読みにはちょっとばかりの肩透かしもあるかもしれないけれど、本書はまごう事なき本格推理。その場の状況に違和感を隠せない自殺者や、不審な行動を見せる者たちが現れて、事件は意外な方向へ。しかし根底には、本書の原題である「高校野球殺人事件」の精神が漂っていることをゆめゆめお忘れなく。
 容疑者が次々浮上していく中、当然その中から容疑者が絞り込まれ、犯人が特定されるのだと思っていると、不意打ちのように背負い投げを食らわされる騙しのテクニック。普通ならば、一度犯行不可能だと特定された容疑者が如何にして捜査(推理)の網を掻い潜りそれを実行に移せたのか、という観点で進むのが常套のところを、中町氏はきっちりと詰めてくる。アリバイしかり、人間関係(ミッシングリンク)しかり。同時にその裏側で、思いも寄らないところから犯人を特定してみせる。本作でも「自殺(或いは他殺?)した者を発見した」と思われていた者が、実は真犯人であった、という「時系列の錯誤」による読者の盲点を突いてきました。
 中町氏は本当、「プロローグ」の使い方が抜群に巧いです。指摘されていないとつい気を許してしまう部分なのですが、冒頭の数ページで、読者は見事に術中にはまってしまう。こいつが犯人なのではないか、とアリバイ崩しに躍起になる影で、実は視点による「容疑の枠」から巧妙に外された人物がいて、最後の最後に真犯人であると指摘される。ミステリ読みに与えられる至極の快感がたまりませんね。
 本作に関して言えば、「猫の錯誤」が実はメイントリックのひとつであったりして、そこは少しばかりブラックユーモアチックで笑ってしまいました。完璧に騙されました。

空白の殺意
空白の殺意
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2.21
中町 信著
東京創元社 (2006.2)
通常24時間以内に発送します。

今日の一言

2006年02月20日 11:53

 バック駐車が下手になったなあ…。気持ち、右に寄る。

今日のフォト:「存在価値を求めて」

2006年02月20日 11:52

 竹薮と化した空き地に冷蔵庫。20年前のお値段です。
P2131935.jpg

流水プール

2006年02月20日 11:50

 お風呂の準備をして、お湯を入れすぎたみたいでちょっと熱かったので、水を入れて調整する。手桶でぐるぐるかき混ぜながら、ふと思い出した。夏場、小学校の水泳の授業で変り種な遊びをしたことがある。プールに皆で入り、外延に沿ってぐるぐる回るのだ。いわゆる25メートルプールで、25×15メートルくらいのプールを、30人くらいでぐるぐる回る。15分くらい続けただろうか。すると次第に水流が発生し、外回りの流水プールが即席で出来上がる。30分くらいは自然な流れが続いた。学校で流水プール。割と楽しかった。
 季節外れな話でごめんなさい。

今日の一言

2006年02月19日 17:37

 ま、ま、マトが起きない!

今日の一言

2006年02月18日 21:56

 「ヒーロー」も「ヒロイン」も同じ意味合いですよ。

「狂乱家族日記 壱さつめ」日日日、読了。(☆☆☆★)

2006年02月18日 21:56

 天上天下唯我独尊。これほどにこの言葉が似合う少女も珍しい…、いや、人外だったか。猫耳に尻尾(デフォルトで身体にくっついているのだ、これが)を装備した少女、ちびっこなのに20歳、口を開けば罵詈雑言だらけ、どうしようもなく毛高でもしかしたらどうしようもなく天才なのかもしれない、もしかしたら魔王の子孫なのかもしれない凶華が、凰火をとことん振り回す(ここに萌えの要素が全く絡んでこないのが、日日日のある意味で潔さ。読者に全く媚びていないところは好感が持てます)。いきなり結婚させられたと思ったら、不思議で奇妙でおかしい面々と「家族」になる…。超常現象対策一課行動部隊長、乱崎凰火と奇天烈な「家族」との馬鹿馬鹿しくも暖かい愛と絆と狂乱の物語。
 テンポがいい文体の持ち主なのですが、同時にまどろっこしい言い回しを多用するので文章が読みづらい、という弱点にもなっているのがつらいところ。特に本書では序盤にその傾向が強く見られるので、読み手を選んでしまいそうなのが残念です。しかし中盤から終盤までは一気呵成で読ませてくれます。狂乱も狂乱、爆走街道まっしぐらで、目的に向かって真正面から小細工無しで堂々と突き進んでいく潔さには、恐れるものなど何もない、己が神だ人は我の下に全て跪け、それこそがお前たちの取る最も正しい態度なのだ、――と言わんばかりの凶華の唯我独尊っぷりを楽しむことが出来ましょう。勢いに関しては余計な言葉はいりません。
 それなのに、本書で描かれているのは家族愛。破天荒な人格の持ち主ばかりの人物と人外の者と言葉を話す動物と得体の知れない生き物と生き物でない者…、彼らの共有する家族愛が、なんともたまらなく胸に染みます。その言動が破天荒であるばかり(そう、本当に何処から何処までも破天荒ばかり!)であるために、愛など語らせたら嘘臭いことこの上ないのですが、彼らは甘っちょろく愛を説いたりしない。自ずから、いつしか芽生え、抱き続けることになる淡い感情を慈しんでいる。それが有り得ないストーリー仕立てに反して温かみを持ち、読者に見せられるのです(「どうだ! そうだ、これだ!」と見せ付けられる感もあるが)。
 恋愛物語でもなく、ハートフルコメディにもならず、精神汚染的で暴力的であるのに、それが快刀乱麻の一撃に収斂する。このギャップが良い。絶望も希望も諦観も無心も何でもござれの本書の中から、読む人によって様々な敬愛を見出される。どうやら面白いシリーズとなりそうです。

狂乱家族日記 1さつめ
日日日著
エンターブレイン (2005.6)
通常24時間以内に発送します。

「レンテンローズ」太田忠司、読了。(☆☆★)

2006年02月18日 18:12

 誰もが心の中に、人に言えない闇を抱えている。なぜ人は、自分を偽り、暗い想いを育ててしまうのだろうか――。香織里の運命は、見慣れぬ花屋「レンテンローズ」に足を踏み入れた時から変わり始める。運命に翻弄され、心の迷路に入り込む香織里。彼女が真実を掴みかけたとき、静寂の時を越え、漆黒に佇むアカンサスが人の心に宿る闇を狩る。珠玉の幻想推理譚。

 幻想ミステリ…、根底にあるのはファンタジーであるのが確かなのですが、事件の謎解きに関しては論理的解釈を据えた推理小説として構成されています。少年少女がエピソードの視点となっているために気づきにくくなっているけれど、事件の真相に絡む人々の思惑には重苦しい悪意が満ちている。「人はそんなことで、そうしてまで人を殺すのか」という苦々しい悲劇が描かれているように思います。「サイン入りの生写真が欲しいから」「愛する人に神に代わって断罪する」だなんて、人のエゴだとしか思えない身勝手な動機。しかし人間のエゴには際限がない。もしかしたら、ではない、そんな衝動も備え得るのだ、というラインに則った事件であるとも読み取れます。それゆえに狩人の形をもってして、闇の住人アカンサスは「解決」を導く…、とはいえ、読後感は決して良くありません。安易なハッピーエンドはそれこそ、本書の世界観には似つかわしくない安っぽいものになるということか。
 教会の密室に関しては…、見取り図が欲しかった。状況の検分をするに、言葉だけでは「視線の抜け道」が少々分かりづらい。シンプルな密室にひとひねりが加えられた、ちょっとした「本格」となっています。
 アカンサスとプリムラの正体については、本編では殆ど言及されていません。これが本書を、ファンタジーの性質を色濃く残す所以となっていますが、彼らがノブとミユキであり、人の姿を象って魂の花を扱う「レンテンローズ」を営んでいるのは誰の目にも明白(伏字にする意味、ありませんね)。ところでミユキが彼女とノブとの歳の開きについて仄めかすシーンがありましたが、あれが手掛かりらしい手掛かりとなりそうです。彼らは人の闇を狩り続け、長い時を経て生き続ける闇の住人。ゆえに花屋として普通に過ごしている分には数歳の差にしか見えないけれど、実際には数十年、或いは数百年の歳の開きがある、と…、特に重要なことではないけれど蛇足まで。

レンテンローズ
太田 忠司〔著〕
富士見書房 (2002.5)
通常2-3日以内に発送します。

「D.Gray-man 旅立ちの聖職者」星野桂・城崎火也、読了。(☆☆)

2006年02月17日 09:30

 星野桂氏原作コミックのノベライズ。本編では語られない番外編、という位置付けですが、本書には星野氏は原作監修としてどのくらい関わっているのでしょうか…、僕は本書を、本編においては最早、遡って描かれることはないであろうエピソードをファンのために小説として書き下ろしたボーナストラック、という位置にあるように捉えているのですが…、やはり仕方ないのか、幾らか星野氏の書く世界観とは微妙な差異を禁じ得ません。仮想19世紀の枠は解釈が難しいのか…、それはあるかもしれないけれど、小説として城崎氏にはもう少し書き込んで欲しかった。
 「旅立ちの聖職者」は本編にもあるプロローグの、更に以前の挿話。物語の導入として悪くないですね。
 神田ユウが主人公となる「魔女の住む村」は、ちょっと楽しみにしていました。冒頭の「睡蓮」はなんとも意味深で、けれど綺麗なシーンで良いですね(けれどこれは本編で明かしてなんぼのものではないのかとも思うが…)。さて…、「帰らずの森」の奥の村にて、不審な空気が広がる中、ソフィアが双子の妹アンジェラの姿をかたどったアクマであったと明かされるシーンがあります。アクマとして生を永らえることとなった「魔女」たる女性の狂気が語られているはずなのですが…、会話の中でいつの間にか人称が入れ替わっており、ここが全く説明不足で、物語の中で生きていない。「説明不足」という読み方が出来てしまう時点で残念だとしか言えないのですが、その後のアクマとの対決シーンに繋がる重要なパートなのだから、誰か指摘しなかったのだろうかと思う。
 恐らく、本編はアレンと神田との最初の対峙のシーンにどう繋げるか、というだけのために書かれたのだろうと推察します。
 「バク・チャン狂想曲」は、…コメディ。ひたすらコメディ。ある意味では本書で一番面白い。コムイのアレは、きっと本心でしょうね。そうでないと彼の存在は有り得ない。どんなにコミカライズな場面が出てこようとも、本当の本心というものは隠せない…、ちょっとだけシリアスで教養的であります。

 割と低年齢層を意識して、分かりやすいことをコンセプトに書かれたのだろうと思いますが、さて、漫画本編の重厚さと比較しても如何なものか。どうやらシリーズ化されることを前提に書かれているようなので、自作に期待、といったところです。

D.Gray‐man Reverse1
星野 桂〔原〕著 / 城崎 火也〔ノベライズ〕著
集英社 (2005.5)
通常24時間以内に発送します。

「天啓の殺意」中町信、読了。(☆☆☆☆)

2006年02月17日 09:29

 柳生照彦から持ち込まれた犯人当てリレー小説。企画は順調に進行するかに見えたが、問題編を渡したまま、柳生は逗留先から姿を消し、しかもその小説は半年前の実在事件を赤裸々に綴ったものだった…。全面改稿決定版。

 「推理作家の小説」が作中に登場する…、つまりは本作の核となるのは「作中作」であります。これにより事件は発覚し、捜査は行われ、様々な事実が浮き彫りになっていく。この「小説」が提出されたと判明した時点で、こなれたミステリ読みはある程度の警戒をもって本書を読み進めることになるでしょう。「作中作あるところにトリックあり」とは最早、ミステリを読む上でのお約束事のようなもので、作者の仕掛けたトリックにはまらないように注意深く物語を追っていくのですが…、見事にしてやられました。
 関係者の隠していた事件の「真相」が次々と明るみになるにつれて、その様相は二転三転とします(が、この展開のさせ方もミスリーディングとして機能している)。多少偶然を論拠で片付ける力技も見られるのですが、この辺りは如何にも推理小説らしい推理小説として手堅い作りをしていると言えるでしょう。事件編が佳境に至るにつれ、読者の頭にはどうにも納得出来ない(筋が通らない)疑問が幾つもちらつくことになるでしょうが、それこそが中町氏の思惑であっただろうことを読了後に思うと、なんとも言えない笑みが浮かんできます。
 実は本書に仕掛けられたトリックは言葉にすると案外シンプルなもので、けれどシンプルであるがゆえにそうそう気づけるものではない。「半年前の事件を柳生が小説にした」のではなく、花積明日子が事件を追っていたと読者に思わせていた本編が、実は柳生の書いた作品そのものであるという、何もかもを反転させる構図は、ただ本書を斜め読みしただけでは読者には絶対に真相が見破れない作りになっているところに注目したいです。それに、「意外な探偵+意外な犯人」「探偵=犯人」「物語の外側から犯人に干渉する意外な真犯人」という構図が憎らしいくらいに決まっています。
 本書のメイントリックは、実は犯人を操る影の真犯人が存在する(探偵役だと思われていた明日子が犯人であると見抜けない限りは辿り着けない真相)、というところにあると思うのですが、これすらも中町氏は完璧に読者を欺いてみせている。このミスリーディングの妙は素晴らしい、と賛辞したくなります。タイトルとなっている「天啓の殺意」のなんと皮肉げなことか。

天啓の殺意
天啓の殺意
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2.17
中町 信著
東京創元社 (2005.4)
通常2-3日以内に発送します。

今日の一言

2006年02月17日 09:28

 似て非なるもの。
「自己アピール」「自己PR」

今日のフォト:「夜明け後」

2006年02月15日 17:52

P2151958.jpg

「模倣の殺意」中町信、読了。(☆☆☆☆)

2006年02月15日 17:27

 七月七日午後七時に服毒死を遂げた新進作家。密室、アリバイ、盗作……様々な要素を絡め、著者が自信を持って仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版!

 推理作家の死を発端に、その知人の男女がそれぞれ、独自に調査を開始する。本編ではその過程が半ば淡々と語られていくスタイルを取っているのですが、中田秋子と津久見伸助の走査線は途中で交わることなく、別の人物を狙い「真相」を追うことになります。アリバイトリックや意外な人間関係、毒々しい事件の動機が次第に暴かれていく中、少しずつ二人の抱く結論は近づいていく。これによって、意図せず組まれた複雑なラインがどうやって最後には収束を見せるのだろうかと読者は期待して読み進めることになるのですが…。
 第四部「真相」の扉にて、作者から挿入された一言。
「あなたは、このあと待ち受ける意外な結末の予想がつきますか。ここで一度、本を閉じて、結末を予想してみてください。」
 そこで作者から突きつけられる驚愕の真相…、まさに驚愕です。多少ミステリを読みなれた人ならば(というか僕は)、割と早い段階で坂井正夫という作者の作品は本当に本人のものだったのか?と不審に思い出すのですが、坂井正夫という作家が二人いただなんて大枠で仕掛けてくるとは思いませんでした。
 本編に大胆に張られた伏線は、本作がミステリとして様々に趣向が凝らされた作品であるということに読了後気づくのですが、本作が1972年に発表されたものだということを考えると、このクオリティはなんとも驚き。当時の視点で言えば斬新な手口を用いた、この系統のトリックを用いた先駆けとなっている(本作のメイントリックはいわずもがな、「人物の誤認」と「時間の誤認」を掛け合わせた叙述トリックなのですが、今でこそ多用される叙述モノを30年前に書いている凄さ)と思わざるを得ません。作中で(メタ的に)言及されている「探偵=犯人(秋子)」を書くことにも成功しているし、その辺りはいわゆる綱渡り的なプロットを書いていると頷けそうです。
 30年という時代の流れも全く敵にはならない、プロットの妙技。素晴らしいトリックの綱渡りを見事にこなしている、隠れた秀作。

模倣の殺意
模倣の殺意
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2.15
中町 信著
東京創元社 (2004.8)
通常2-3日以内に発送します。

ライセンス保険

2006年02月15日 16:49

 ライセンス保険というものがあるみたいです。
 何のライセンスなのかというと、自動車運転免許。年会費を支払っておけば、軽微な反則金を保険会社が代行して支払ってくれるという保険(いわゆる青キップの範囲内)。加入者の全員が全員、運転違反を繰り返すことは常識的に有り得ないために、巧いこと成り立っている。ホント、巧いこと考える人もいるんだなあ。

「レタス・フライ」森博嗣、読了。(☆☆★)

2006年02月12日 16:38

 2本の長めの短編が2本の短めの短編を挟み、それが5本のショートショートを挟んでいる…、タイトルといい、揚げ物に見立てた構図ですか? 違うだろうけれど。とまれ、バラエティに富んだ一冊となっていることは確かなのですが、如何せん、殆どの話には固有名詞が出てこないため、何処か存在感が希薄な感じが否めません。もしかすると作者の故意が絡むのかもしれませんが、詩を小説に引き伸ばした、という印象があるような気がする。いや…、森氏は元々、小説を書くときには内容よりもタイトルが先に浮かぶ人のようだから、本書のショートショートなどは特に、タイトルから物語(或いは物語の欠片)を作り出したイメージを伺わせます(無論、これは僕の持論)。氏の「詩的」な言葉の流れも年々、度を増しているような気もするし。
 ということで、ミステリの作品集として読むと、悪い言い方ですがしっぺ返しを食らうかもしれません。けれどもこれまでのどの森作品とも違うスタイル、独特の雰囲気を持ち合わせた本となっていることは絶対で、ことにショートショートも含まれているため、いつもよりもゆっくり、じっくり読んでみたらいいかな、と思います。

 さて…、森博嗣ファンにとって垂涎の一作となるであろう、本書の最後に収められた「刀之津診療所の怪」。このラストシーンは僕も声を出して驚いてしまいました。こういうことをしてくるのか、と…。医師の正体はまず間違いなく小鳥遊練無でしょうね。ラストの台詞からすると、過去の短編「ぶるぶる人形にうってつけの夜」の正当な続編であることが明らかになってきます。彼が佐々木に「フランソワ」と言っている時点でほぼ全てが確定。島の内情が筒抜けなのに正体が知れない着物の女性、地面から飛び出した物体…、女装癖の少林寺拳法遣いか…。アルファベットが非対称、という話も「ぶるぶる人形」のメインでしたね(これは佐々木睦子を西之薗萌絵だと読者に思わせようとするミスリーディングでしたが。更に言えば当時ではS&MシリーズとVシリーズとは時代設定が違うという真相を隠す手段でもあったのだな)。それから「背の高い黒い服の人」は、どうやら香具山紫子なのかなと思われます。彼が「身内」と呼んでいたのが非常に気に掛かりますが…、結婚したのかな。
 そういう、本筋の話の流れから当然生じるはずの「謎解き」がやたらあっさり行われるので、危うく肩透かしを食いかけていた(その辺りは「本編はGシリーズだな」と思わせられる)読者の心持に放たれたフィニッシュブローの強烈なことといったら、もう! たまりませんね。S&MシリーズとVシリーズが融合する接着剤をGシリーズが務めている。ミステリとして困難なことを森氏がしているのはよおく分かります。辻褄合わせではないから凄い。
 ただ、この話に関しては、幾つかの森作品を読みこなしてきた人にでないと全く通用しない仕掛けであることは否めなく…、ミステリとしても物凄く中途半端なんです。ううん、ファンサービスにしては変な位置で見せられたやり方だし、本短編集の趣旨が何処にあるのかと考えてみると、なんだかこの話がここにあるのには微妙なズレを感じずにはいられません。

レタス・フライ
森 博嗣著
講談社 (2006.1)
通常24時間以内に発送します。

今日のフォト:「DICE」

2006年02月12日 12:30

P2121929.jpg

P2121930.jpg

今日のフォト:「雪富士」

2006年02月09日 20:35

 富士河口湖町に行ってきました。富士山の写真など。
P2091914.jpg

 もひとつ。
P2091915.jpg

「夢喰見聞・7」真柴真、読了。(☆☆☆☆★)

2006年02月08日 19:54

 僕が現在、最も好きな漫画のひとつ。悪夢を喰らう獏が、夢の外に不安を抱える人々の悪夢の謎を解く見聞録。黒くて暗くて独特のアクの強さがあるのですが、大正時代の舞台背景を逆手に取ったレトロな現代ファンタジーとしても読めるし、夢を題材に扱っているゆえに、ぱっと見にはおいそれと深層が窺い知れない真実を解き明かす、伏線が張り巡らされたミステリとしても面白く読めます。本巻は題材が豊富。漫画に双六に鍵…、犬の夢が現れたときには素材を料理する手腕に舌を巻きました。
 相変わらずバッドエンド率が高い(ゆえに黒くて暗い雰囲気をより強めている)ですが、そもそもの物語の核が「悪夢」にあるのですから、当然といえば当然なのかもしれません。悪夢から覚めて現実を認識し、ホッと息をつく、そんな人の無防備な瞬間に足払いを掛けて奈落に落とす…、改めて現実の「悪夢」を体験させる、二重の怖さが本書にはあります。夢の真相が明らかになったと読者もひとつ頷いた途端、もうひとつある現実の側の真相が見えたとき、夢の姿はくるりと「悪夢」の本当の形に変わる(この辺りがミステリに通じていますね)。そう…、獏の蛭弧は夢の絵解きこそ鮮やかに行ってみせるけれど、その夢の住人を救う術を持っているわけではない。それは夢を見た者への一種の裏切りだとすら思えなくもないのですが、しかし、それこそが「悪夢」なのだと言われたら、こちら側の世界の住人である僕らは否定することが出来ません。

夢喰見聞 7
夢喰見聞 7
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2. 8
真柴 真
スクウェア・エニックス (2006.1)
通常2-3日以内に発送します。

「DEATHNOTE・10」大場つぐみ・小畑健、読了。(☆☆☆☆★)

2006年02月06日 19:30

 1ページ読むのに、小説を読むのと同じくらい時間が掛かるような気がする「デスノ」です。内容が濃いのだかネームが濃いのだか錯覚してしまいますが…、はてさて。
 次第に追い詰められていく月が、その見えない窮地を如何に掻い潜るか、というのが第2部のあらましとなりつつあるようです。第1部での物語の核であった、キラであることを如何に隠し通しつつ宿敵を葬り去るか、というギリギリさとはまた違ったサスペンスですが、本作はいわば倒叙モノであるために、読者に向けられた伏線はそうであるとなかなか気づけないのですが(第2部ではこのところ、味方を欺くのが容易でなくなってきているようなので余計に)、本作の心理戦はミステリの枠から離れ、ファンタジーとしての世界観の中での一種、ギャンブルの読み合いに近い。ワクワクはしないけれど緊迫感に溢れドキドキする。読者は月の視点で、最早Lとして動くことすら危ぶまれている彼がどう立ち回ることになるのかを見つめ続けることになりそう。
 そう、今回はやや一足飛びではあるものの、「2代目L=キラ=夜神月」と結びつけたニアのロジックが素晴らしい。そして月の隠し球…、ニアやメロに対しては勿論、もしかすると月自身にも脅威となり得るかもしれない男、魅上の登場ですよ。月が彼を操り切れるのかが不安ですが(まあ恐らく遠くないうちに暴走を見せるだろうと思われるが)、1話まるまるが個人エピソードに使われていたのには違う意味で驚きでした。
 ミサミサはどうなるのだろう。高田清美の登場で役払いになってしまうのだろうか。しかし色々な意味で最悪な男だな、夜神月。

Death note 10
大場 つぐみ原作 / 小畑 健漫画
集英社 (2006.2)
通常24時間以内に発送します。

 もひとつ余談になりますが、画集の価格に失笑。特別仕様のBOXが20000円弱、画集のみでも5000円弱。アニメより先に実写映画化まで決まってしまって、もう加速は止まりませんね。ここまでくると純粋なファン(いるのか?)は少々熱が冷めてしまうのでは。


RECENTLY


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。