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【○】「禁断のパンダ」拓未司

2011年04月30日 23:42

 柴山幸太は神戸でフレンチスタイルのビストロを営む新進気鋭の料理人。彼は、妻の友人と木下貴史との結婚披露宴に出席し、貴史の祖父である中島という老人と知り合いになる。その中島は人間離れした味覚を持つ有名な料理評論家であった。披露宴での会話を通じて、幸太は中島に料理人としてのセンスを認められ、その結果、中島が幸太のビストロを訪問することになる。一方、幸太が中島と知り合った翌日、神戸ポートタワーで一人の男性の刺殺体が発見された。捜査に乗り出した兵庫県警捜査第一課の青山は、木下貴史の父・義明が営む会社に被害者が勤務していたことをつかむ。さらには義明も失踪していることを知り…。『このミステリーがすごい!』大賞第6回2008年大賞受賞作。

 ということで、読みました。
 事件が始まるまでが確かに退屈なのだけれど…、それを補うだけの技量はある、と各地で賞賛されている「美食」シーンは、魅惑的なまでの豊かな描写なのは認められると思うのですが…。でも、それって本書の趣旨に添えば「あそう。それだけ?」と言われかねない危うさもあると思う。ミステリの方は目を潰れよ、と、そういうことか?
 事件に絡む薀蓄が物凄い小説があって、そういうところで読者の興味を引いて読ませる、というのはアリだと思いますし、実際にそういう趣向があってこその面白さが惹き出されている小説も沢山あります。しかし、本書に関して言えば、どうしても中途半端。だったらもっと「食」がガッツリ事件に絡んでくることが分かってしまう(実際に、一番の驚きはまさに「美食」とは何ぞや、という探究心の果てにある禁断の食材、というところにあるので、本書の事件の真相にいたる転がし方は、僕は好きです)くらいがいいのでは、と思います。この事件の犯人の動機には「それはないだろう、いくらなんでも」と愕然とするものがあると同時に、なんだか盲目的に分かってしまうところがないでもないだけに。
 ミステリとしての出来を第一に期待して読むと、肩透かしを食らいます。ご注意を。


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BLOCKSUM

2011年04月25日 22:04

 お、面白過ぎる…。
 その名は、BLOCKSUM。足し算+落ちゲー。

 http://infotech.rim.zenno.info/products/blocksum/ja/

 スクリーンショットはこんな感じ。こんな感じのゲーム。楽しい。
s0.jpg

 フリーソフトです。

【○】「ふたりの距離の概算」米澤穂信

2011年04月24日 23:36

 春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する! あいつが誰かを傷つけるなんて―俺は信じない。すれ違う心の距離を奉太郎は解き明かせるのか。“古典部”シリーズ最新刊。

 ということで、読みました。
 古典部シリーズ5作目。マラソン大会という苦行を、修行の如き想像という行為の切っ掛けとして進められる、体力と知力のイベント。しかし個人競技であるマラソン大会であるくせに主人公はこれでもかというくらいにやる気がないのだ。しかし動機はある(これはほんの数ヶ月前の折木にとっては、とても有り得ないような動機であることは、なんだか微笑ましく見守りたくなってしまうのですが)。
 本書のキモは端的。「新入部員は何故入部を止めたのか?」それを考えねばならない。日常の謎を積み重ねる連作短編集のような体制をとって思い起こされる、古典部のメンバー、プラス、ひとりの新学期。実に些細な手掛かりからロジックで導かれる意外な人となりと、「ふたりの距離」の試算。…僕は本書の早い段階から、「折木にひと目惚れしてしまった大日向が、やがて折木と千反田が好き合っているように見えてしまって、泣く泣く身を引いたのだ」という構図を思い浮かべてしまって、それはちょっと甘酸っぱ過ぎるのではないかと苦々しく読んでしまいました。面白かったです。


くるとが

2011年04月22日 23:52

■講義ノートを作っていて、芯が切れた。ペンの本体の、芯のストックが、切れたのです。シャーペンの芯を替える、という作業を、ここ数年ぶりにしたような気がします。買え芯のケースが、ちゃんととってありました。
 学生時代には毎日のようにしていた、ノートへの筆記作業ということを、社会人になってからする頻度が落ちた、という単純なことの結果なのでしょうけれど、そうなのかなあ、と考えてみれば、なるほど、日常的に使っているのはボールペンなのですよね。「筆記する」という行為は日常的にしている。それは変わらないのだが、「鉛筆書き」という行為は確かにあまりしていないような感覚がある。実際、そうなのでしょう。そうであるし、ボールペンなどは殆ど使い捨てのようなもので、万年筆のようにお気に入りの自分専用のものを長い間使い続けるということもしない。
 今使っているシャーペンは、クルトガ(筆圧で芯が自動的に回転して、常に芯が尖った状態で書くことが出来る。とても便利! 300円くらいで買えます)ですが、買ったときに長い芯をあらかじめ入れておいた、その3本くらいが数年、もってしまっているのだから、余程、筆記の分量は少ないのだろうと分かる。一方でボールペンはといえば、100均で買えるような、まあ、滑らかに書ければそれでいいや、というくらいの希望しかないので、物持ちが悪くて直ぐに無くしたり買い換えたりを繰り返しています(でもジェットストリームが近所の100均で買えるのは嬉しい)。
 コストパフォーマンス的に言えば、長いこと使える(インクを使いきれるくらいに常用出来るボールペンって、実はなかなかないものです)ボールペンを一本、いつでも胸ポケットに差してます、くらいの感覚でい続けられればベストなのだろうな、と思うのだけれど…。525円で買ったクルトガは、なんというか、個人的にも「好き」なタイプの筆記用具であるので、丁寧に使っているな、と自分でも分かるのですけれど。探してみるかな、よく使うからこそ、ワンランク上のボールペン。


【○】「遠まわりする雛」米澤穂信

2011年04月20日 22:52

 省エネをモットーとする折木奉太郎は“古典部”部員・千反田えるの頼みで、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する。十二単をまとった「生き雛」が町を練り歩くという祭りだが、連絡の手違いで開催が危ぶまれる事態に。千反田の機転で祭事は無事に執り行われたが、その「手違い」が気になる彼女は奉太郎とともに真相を推理する―。あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか“古典部”を過ぎゆく1年を描いた全7編。

 ということで、読みました。
 古典部シリーズ、4作目。物語を紐解いていくときに、「この話は一々描写が濃いなあ」とか「この人、存在感が薄いなあ」とか考えつつ読むこともたまにはあるのですが、このシリーズに関して言えば、なんだろう、なんだか、何にしても「淡い」というイメージがあるように思います。目立ちはしないけれど、その色に気がついた者だけが心を彩ることが出来る、特別なもの。
 四季折々の短編集ということで、ミステリで言うところの「日常の謎」が随所に描かれているけれど、謎解きの面白さを重点に、というよりも、青春小説としての実に微妙な(絶妙な)造詣がやはり面白い。決して日常的ではないけれど、日常の中に紛れ込んでいても全然、不思議じゃない「不思議」。
 誰も彼もが素直じゃないところか、如何にも現代っ子ですよね。


【◎】「人形館の殺人」綾辻行人

2011年04月15日 22:43

 飛龍想一が京都、北白川に建つ「人形館」に越してきた時、驚天動地の終結(カタストロフィ)へ向けて秒読みは始まった。屋敷には父が遺した異形のマネキン人形たちが佇み、付近では通り魔殺人があいつぐ。そして彼にしのびよる姿なき殺人者。名探偵・島田潔の登場と奇矯な建築家・中村青司の影。……シリーズ最強最深のショック!

 ということで、読みました。
 シリーズ髄一の異色作。ノベルス時代からの久方ぶりに再読。読み終えてみれば、人形館は、ひとつの大きな「静謐」であったのかもしれないと思う。外界に開放された館での事件。過去の遺物、過去の記憶、そして影の所業。語り手である飛龍の言動が一々、儚過ぎて、浮世離れした視点がまるで「読者」のように静かなのです。
 「犯人当て」がミステリであるとするのなら、本作の難易度は決して高くはない。しかし、本書で語られる数々の事件の「真相を読み解く」ことがミステリの醍醐味と捉えるのならば、実に複雑な思考が求められるだろう。読者の先入観、登場人物の言動、本作が「館シリーズ」であるということ、全てを疑うことが出来るか否か(よもや、本書で語られる「人形館」が存在しないなどと、初読の際にどれほどの人が看破し得たであろうか)。全く、離れ技にもほどがある…。


今日のフォト

2011年04月12日 22:59

 ハト。

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【◎◎】「密室殺人ゲーム2.0」歌野晶午

2011年04月12日 22:10

 「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」奇妙すぎるニックネームの5人が、日夜チャット上で「とびきりのトリック」を出題しあう推理合戦! ただし、このゲームが特殊なのは各々の参加者がトリックを披露するため、殺人を実行するということ。究極の推理ゲームが行き着く衝撃の結末とは。

 ということで、読みました。
 前作「密室殺人ゲーム王手飛車取り」を読んだとき(→リンク)、「これは酷いミステリだ」という第一声で寸感を書きました。
 今回はなんだかとんでもなく面白かった。脇目も振らずに読みふけってしまった。お腹が空くのも忘れて一気読みしました。前作がアレだったので一体全体、続編がどんな風に続くのか、どんな作りになるのだろうか、と想像も出来なかったのですが、まあ、こうなるのは順当なのかもしれません。それはそれで物凄く怖いことなのだけれど。ちゃんと引き継いでたしね。
 基本的に「発生した事件に関してディスカッション(チャットで)を加えながら真相を究明していく」というロジック読みでも良し、「誰を殺すかなんて別にどうでもいいんだけど思いついたトリックを実行するのにこいつなら丁度いいと思って殺してみた」みたいな、動機なんてパズラーにいらないじゃん? みたいなトリック一本主義の視線で読むのでも良し、みたいな姿勢は前作と変わらず。
「はーい、じゃあ次は俺が考えたトリックで殺してくるから皆考えてねー」
 の繰り返しなところを乗り越えられるかどうかで、本書を楽しめるかどうかがバッサリと分かれてしまうのではないかと思われます。これも前作と一緒。正直なところ、ミステリ作家が頭の中でしていることと同じことを登場人物たちがしている、ように読者に見せている、だけなのに(それを自分自身で実行しているか、架空の人物に実行させているか、という「だけ」の違い)、こうも倫理観に欠けるメンツに見えてくるのは実に不思議。
 実のところ、「ええっ、本当にそんなことやっちゃったのかよ」という真相がてんこ盛りで、「ミステリのためのトリック、イコール、トリックのためのミステリ」、という大仰な印象すら受けるのに、そこから生み出すものはなにもない。その瞬間は天啓を得たかのような感動を受けても、残るのは空虚さだけ、という読後感に導かれるのが、かえって凄い。
 やっぱり酷いミステリだ、今回も。面白かったです。


わくわく

2011年04月09日 22:56

■なんだかワクワクしちゃったもの。







【◎】「エデン」近藤史恵

2011年04月09日 09:38

 あれから三年―。白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。だが、すぐさま彼は、チームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。そしてまた惨劇が…。ここは本当に「楽園」なのだろうか?過酷なレースを走り抜けた白石誓が見出した結論とは

 ということで、読みました。
 一気読み。「サクリファイス」の正当な続編。前作に引き続き、クールにドライに(ストイックに、と言うべきか)ひたすらに、目的に向かって走るロードレーサーたちの生き様が描かれている。彼らの走る目的は、単純にスタートから全力でゴールを目指せば最善、というような単純な「目的地」とは違うところにあるように思えてならない。プロのスポーツ選手によく言えることであるが、金や名声では手に入れることの出来ない幸福感、高揚感を手に入れるためにそのスポーツをしているのだと感じる瞬間があり、それが結末にあるか過程にあるか不明であるから面白いのだと。
 前作はミステリとしても面白かったのですが、今回は青春小説のような、清清しさすら感じる読後感。


【○】「カッパの飼い方・2~4」石川優吾

2011年04月09日 09:22

 河童相撲大会の季節がやってきた。かぁたんたちは、仔河童の部の地区予選に出場することになり、稽古に励むが立会いすらまともにできない。一方、大人の部に参加するピエール。しかしそこには強敵・ヘラクレスが…! 波乱必至の相撲大会、開幕!(4巻内容より)

 ということで、読みました。
 面白いですね。とても力が抜けていい感じです。
 架空の生き物だけれど絶対にいないと言いきれない(?)カッパがいる不思議さ。
 キノコのくだりは「んな阿呆な…」と呟きたくなるけれど、それも否定出来ない…。
 

2011年04月08日 19:47

 しかしまあ、そうはいってもお花見に行ってきました。
 風が強かったので既に散り始めている。

 甲府と、
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 身延。
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【○】「少年メイド・4」乙橘

2011年04月05日 19:20

 メイド少年ホームコメディ、大好評の第4弾!!
 掃除・洗濯・料理が超カンペキな優秀メイド。しかもそれが、ツンデレ属性の少年だったら――!? 大好評のメイド少年ホームコメディに、待望の第4巻が登場!! ぎこちないながらも暖かい家庭を築いていた千尋と円だったけど、鷹取の本家が絡んだ不穏な動きが――!? 試される二人の絆!?

 ということで、読みました。
 相変わらずの掃除好きっぷりが爆発しているメイド少年です。そんな彼を我が家に迎えたいと多数の方がご希望かと思われますが、まずは彼を迎えるために精一杯のご自身での清掃を。「それで一生懸命掃除したっての? …全然ダメ。最初からやり直し(俺が)」トホホイ。それが遣り甲斐生き甲斐ならば仕方がないことでしょうね。…この世界の大人はみんな良い人で、なんだか安堵の息が零れてしまいそうです。幸せな世界に住めるということは、本当に幸せなことなんだなあ。


【◎】「長い廊下がある家」有栖川有栖

2011年04月05日 19:15

 廃村に踏み迷った大学生の青年は、夜も更けて、ようやく明かりのついた家に辿り着く。そこもやはり廃屋だったが、三人の雑誌取材チームが訪れていた。この家には幽霊が出るというのだ―。思い違い、錯誤、言い逃れに悪巧み。それぞれに歪んだ手掛かりから、臨床犯罪学者・火村英生が導き出す真相とは!?悪意ある者の奸計に、火村英生の怜悧な頭脳が挑む。切れ味抜群の本格ミステリ傑作集

 ということで、読みました。
 火村シリーズ、短編集。表題作は中篇ですが、密室トリックとアリバイトリックの合体したかのような堅固さがほんの一言で瓦解してしまう、謎解きの面白さを地で行くような、本格ミステリのお手本のような一作。中編にするだけの長さも納得だし、火村とアリスの遣り取りも楽しい。
 一番「本格」らしいのはこれで、特に後の2編はヴァラエティに富んだ…、というより実験味に溢れている、と形容すべきか。面白い。まさかまさか(!)のアリスがひとりで…、の「天空の眼」、天の啓示かという現実机上の論理劇の「ロジカル・デスゲーム」も論理的思考を試されるミステリの新しい試みとして面白かった。


064

2011年04月01日 00:01

 ビルの角を曲がると、大勢の人が列を作って歩いてくるのに出くわした。
 一体、何の行列なのだろう。一列になって、整然と彼らは進んでいる。
 すれ違いざまに観察してみると、彼らは老若男女、様々な人がいる。
 それこそ、小中学生から社会人、老人まで。色々な格好で。
 しかし彼らに共通しているのは、白い一抱えもあろうかというリュックサックを背負っていること。
 和気藹々とした行列ではない。誰もが真剣な目つきをして、無駄口を利かず、沈黙を連れて。
 彼らとすれ違いながら、僕は歩道を行く。行列はなかなか終わらない。
 終わらない、と一言で片付けてしまうには簡単ではなかった。長いのだ、その列は。本当に。
 何十メートル、何百メートル、或いは、という規模なのだ、それは。
 一体彼らは、何の目的があって歩み続けているのだろう、一心不乱に。
 やがて列は、信号のある交差点を横断していることに気づいた。列は横断歩道を渡っている。
 いやしかし、その信号は既に何度か、赤信号に切り替わっているはずなのだ、この長さであれば。
 こんな長い行列であれば、幾度か分断されていてもおかしくないのに、彼らの列は乱れていない。
 その理由は明確で、僕の目の前で赤信号に変わった横断歩道を、彼らは悠々と渡っている。
 対向する車道にて、自動車が呆気に取られたように佇んでいた。気持ちは分からないでもない。
 とてもこの行列を、邪魔することなど出来ない、そんな雰囲気が漂っている。
 しかし、目を凝らしてみても、この行列には終わりが見えてこないのだ。
 何処まで続いているのか、この列は。何処へ向かっているのか、彼らは。
 彼らに質問を投げ掛ける者も、辺りにはいない。それさえもはばかられる、そんな空気。
 次のビルの角で、僕は目的地に向かって進路を変えた。
 荷物が重い。背負ったリュックサックを、僕は肩を怒らせて背負い直す。
 列が、少し乱れたような気がして、僕は後ろに続く者に軽く頭を下げた。
 目的地には、まだ、遠い。


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