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【○】「星屑町のパンのミミ 2」松本花

2012年03月25日 22:42

 読みました。
 「人探し」をメインテーマに進められる幾つかの話。それ自体はオーソドックスなプロットなのだけれど、松本氏の絵の描き方、画面の作り方はやはり独特な綺麗さを持っていて好きです。噛み締めるように時間を掛けて読んでしまう。千里眼とか祓い師とかが登場してもすんなり受け入れてしまうのは、抗いがたい現代ファンタジーの担い手であるからか。男の子も女の子もただ可愛いんじゃなくて「綺麗に可愛い」ので素敵過ぎますね。
 あと野放図に過ぎるパパさんは一体、何を目論んでいるのやら。きっと何か面白いことを企んでいるのでしょうけどね。


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【◎】「3月のライオン 7」羽海野チカ

2012年03月25日 22:38

 新人王を獲った零だったが、いじめられているヒナのために、自分が何もできないと勝手に思い込んでいた。一方、ヒナは学校で心が折れそうになりながらも、懸命にいじめと戦っていた。二人の様々な思いが交錯する中、物語は新たな展開をみせる。
「本当の強さとは何か?」
 あなたに問いかける『3月のライオン』第7巻、ここに登場です。

 ということで、読みました。
 引き続き、イジメの話がメインの一冊ですが…、これはもう、実に巧く物語を消化させてるなあと素直に感心してしまった。時代は最早、当事者のみでは解決することはできないテーマなのですよね、イジメって。無論、外部が関われば無難に収束する保証もない。何処から何処までが関係者なのかを皆が自覚できるかどうかが、ひとつの鍵なんだろうなあと思う。ページをめくって画面が黒いと、ついつい息を呑んでしまいます。羽海野氏はそこんとこが本当に巧い。
 悩みつつも前に進む零の側では、なんだかここにきてラスボスと対局…!? 楽しみです。


【○】「ROMMY 越境者の夢」歌野晶午

2012年03月24日 21:34

 人気絶頂の歌手ROMMYが、絞殺死体となって発見された。ROMMYの音楽に惚れ込み、支え続けた中村がとる奇妙な行動。一瞬目を離した隙に、ROMMYの死体は何者かに切り刻まれ、奇妙な装飾を施されていた―。一体誰が何のために?天才歌手に隠された驚愕の真相とは。新本格の雄、歌野晶午の真髄がここに。

 ということで、読みました。
 ヴィヴィッドな感性とパフォーマンスで観衆を惹き付けて止まない歌手を中心に、あるひとつの大きな事件を描いた多視点の伝記的スタイルで描かれるミステリ。1995年の作品を新装版として刊行されたもの。前書きにおいて歌野氏が自ら述べているように、終盤、ある部分において、どうしても現代の読者が読むと違和感を感じずにはいられないところがあるのだけれど、これは本作の小説的価値を貶めるものにはなっていないと信じたい。
 半ば、社会的な大きなテーマであるもので、トリックというよりプロットが物語を物凄く巧く見せている一作。殺人犯人の行動についてご都合主義的な流れがあるのは仕方ないのだろうが、終盤、登場人物の発するほんの一言の強烈なブロウの見事なこと(これを性別誤認トリックの一言で片付けてしまうには惜しい)。


【○】「どんでん返し」笹沢左保

2012年03月21日 21:30

「ねえ…思いきって、やったらどうなの」
「何をだ」
「わたしを、殺すのよ」
 社の常務の姪と不倫の挙句、妊娠させ、結婚を迫られる夫。玉の輿をもくろむ夫に、妻は離婚絶対拒否で対抗する。結婚できなければ会社はクビ。地獄と極楽の岐路に立った夫と、女の意地を賭けた妻の選択は…(「霧」より)。
 全編会話だけで緻密に構成された異色ミステリー

 ということで、読みました。
 全編、会話のみで構成されたミステリ短編集。ということは舞台も登場人物も相当限定された設定でしか事件を描けない(事件のリアルタイムな描写に制限が大きく掛かる)。そしてタイトルが「どんでん返し」とくれば、読者はそりゃあ作者の企みには騙されるまいと目を皿のようにして「会話」に注目してしまうわけです。案の定というか、幾つかの話においては、「ああ、この先、こういう展開になるんだろうなあ」というのが読めてしまうものもありましたが、それでいてなお、読んでいて面白い構成の妙技。説明臭さを排そうとする努力の賜物。


【○】「第9地区」

2012年03月16日 23:05

 あるものはエイリアンによる侵略を恐れ、あるものは技術の革新的な発展がもたらされると期待したが、宇宙船はヨハネスブルグ上空に浮かんだまま、動こうとしない。しびれを切らした南アフリカ政府は偵察隊を派遣。船内で彼らを待ち受けていたのは、弱り果てたエイリアンの群れだった。彼らは故障した宇宙船に乗った難民に過ぎなかったのだ。
 それから28年後、難民として生活するエイリアンと人間が暮らす共同居住区“第9地区”はスラムと化していた。超国家機関MNUはエイリアンの強制移住を決定し、ヴィカスという男を現場責任者に指名する。彼は立ち退きの通達をして回るうち、知らずに人類とエイリアンの歴史を変える大事件の引き金を引いてしまう―。

 ということで、観ました。
 何も考えずにぼんやり見ている分には、なんだか近未来に起こらないとも限らない…、でもまあ、自分が生きているうちにはこんなことないんだろうなあ、なんて、本当にぼんやり見送ってしまいそうなSF映画なのですが、まさか「人間(地球人)」と「エイリアン(地球外生命体)」との対立を現代の人種差別と重ね合わせて描いていたとは(観終わって、他の人の感想を眺めていたらそれを知って驚いた)。派手で滑らかなVFXやら過剰なほどの銃撃戦など、「虚構と現実」を「戦争と平和」に置き換えてみたり、自分の正しさを武器に働きかけていた主人公がいつの間にか逆転した立場で戦っていたり。なるほど、他の生き物と対立する、という構図は、なにもSFのみの物語に言えることではないのですよね。
 本作は、ある意味、ひとりの生き物の変化の物語であるとも言えるでしょう。ラストシーンがそれを想像させます。


108

2012年03月15日 22:03

西の空に星が綺麗に見えているというので、外に出てみた。
成る程、冬の空の星は綺麗だ。
つい手を伸ばして、そのうちのひとつを部屋に持ち帰った。
淡い光が夜の安らぎには丁度いい。

そんなわけで、今、西の空にはふたつしか星が見えないと思いますが僕のせいです。

【○】「猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数」北山猛邦

2012年03月15日 21:49

 大学の探偵助手学部に通う君橋と月々の気分はどん底だった。名門ゼミ入り審査に落ち、悪ふざけで希望を出した知名度ゼロの猫柳ゼミ行きが決まったから。そう、指導教官は功績不明かつ頼りなさげな女探偵・猫柳十一弦。彼女の下では立派な探偵助手になれないのか(涙)?だが名門ゼミとの合同研修が決まり、人生大逆転をめざし孤島の館へ。その合宿中、奇怪な殺人事件が発生する。“波乱万丈”大学生活、青春“北山猛邦”ミステリ。

 ということで、読みました。
 探偵学を扱う大学のゼミ生が集う孤島で起きる不可能犯罪! 凄い惹かれる梗概なのですが、もっと「探偵学」をしている場面が読みたかった。幾らでも読み物として面白く出来るのになあ、と贅沢にも思ったものです。事件が進行するペースが割と早いため、どうしても説明的なタームが目立ってしまっていて、なかなか理詰めで考える場面に乏しく、後になって考えてみれば手掛かりはフェアかもしれないけれど、探偵の推理は直感のことを指していないかと不安な感じに。よくぞこんなことを思いついたものだ、と思わずにはいられない驚愕のミッシングリンクもインパクトが弱過ぎるのが残念。流石、物理の北山!
 ところで、猫柳十一弦。実に思い切ったネーミングですが、表紙の中央の女史がそうであります。影の薄い「探偵」なのですが、実に健気なんだ、この人…。彼女が「事件を未然に防ぐ探偵であるがゆえに、起こった事件を解決することが出来ない、実績を持たない探偵」であるということを思えば、本作の進行コードも仕方がないのかなあ…、どうかなあ。
 で、どっちがクンクンでどっちがマモルなんだろう。


【◎】「さらわれたい女」歌野晶午

2012年03月12日 21:47

「私を誘拐してください」小宮山佐緒理は潤んだ瞳で俺の手を握りしめた―。報酬は百万円、夫の愛を確かめるための“狂言誘拐”を頼みたいというのだ。便利屋の俺は完璧なプランを練り、見事に“誘拐”を成功させる。しかし、身を隠していた佐緒理が部屋で殺されているのを発見し…。偉才・歌野が放つ、誘拐ミステリーの白眉。

 ということで、読みました。
 テーマは「狂言誘拐」。作中で展開する事件は端から狂言誘拐である、と分かっていてなお、仕掛けられた展開に混乱と驚愕。いやこれはあまりに綱渡り過ぎるだろう、というプロットなのですが、そこは探偵(便利屋)の立ち回りにより事件が複雑化した、というところを面白く読むべきなのでしょうね。大量の伏線が収束していく後半が楽しい。身代金拐取のプロセスにおいて、現代では「古臭い」遣り方が用いられているのですが、成る程、ケータイが当たり前の現代においては、こういう通信手段もアリなのか、ということでかえって目新しい面白さ。


さらわれたい女
歌野 晶午

【○】「A-presto~ア・プレスト~ 1」十峯なるせ・高里椎奈

2012年03月10日 22:43

 高里里氏が漫画の原作! へえー! と思いながら読みました。本編を紐解く前に背表紙の作品紹介の文を読んでしまったことを大いに後悔しています。本編に関する重要なネタバレじゃないの、これ…。
 何処かの時代、何処かの場所で語られる、過去の話と、今の話。過去は過去、今は今。単純にして当たり前の概念なのですが、この話を読んでいると、なんだかその境界線があやふやであるように思います。意図的に真実が伏せられているのが分かるのに、それがなんだかはっきりしない。ファンタジーとミステリの合いの子、高里氏の本領発揮。


【◎】「ガラス張りの誘拐」歌野晶午

2012年03月10日 22:24

「私は断じて愉快犯ではない」―世間を恐怖に陥れている連続婦女誘拐殺人事件。少女惨殺の模様を克明に記した犯行声明が新聞社に届けられた。ところが、家族や捜査陣の混乱をよそに、殺されたはずのその少女は無事戻り、犯人とされた男は自殺、事件は終結したかに思われた。しかし、事件はまだ終わっていなかった。捜査を担当している佐原刑事の娘が誘拐されたのだ!しかも、犯人は衆人環視のなかで身代金を運べと要求する…。犯人の目的はいったい何なのか?刑事たちを待ち受ける驚天動地の結末とは!?偉才が放つ奇想のミステリ

 ということで、読みました。
 すがり付くような悲壮感と共に違和感がもどかしい、複数の誘拐劇。「誘拐事件」のジャンルに一石を投じる形となったであろう作品だと考えます。犯人が用いた連絡方法などの巧妙な手段が現実的かつ現代的かどうかということについては、本作が書かれたのが1990年代であることを見ても違和感となるのは仕方がないのですが、視点を変えれば完全犯罪に近い計画であったと捉えられなくもない。本書が順序を入れ替えた三部構成となっているのも、犯人を含め様々な背景を浮かび上がらせるのに効果的です。ラストシーンの一言が、強い余韻。


【◎】「硝子のハンマー」貴志祐介

2012年03月09日 09:10

 日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号。廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。

 ということで、読みました。
 梗概の通り、密室の難攻不落さといったら。テナントビルの最上階、監視カメラ、扉の施錠、屋外向きのガラスは防犯仕様…、「犯人は如何にして完璧な密室で殺人を行ったのか?」を巡る論証と傍証。陰のあるセキュリティコンサルタントが探偵役、ワトソン役は弁護士先生で、ふたりの遣り取りも如何にも「現代の密室の破り方」について議論されているので面白い。つまりは防犯をテーマにしたかのような侵入経路における可能性の検討が虱潰しに次々に行われるわけで、密室の堅牢さが高まるばかりなのには興奮してしまいます。
 ひたすらハウダニットを突き詰めていく前半部とはがらりと趣が変わる後半部は犯人の視点に切り替わって終始、犯人が如何にして犯行に手を染めたのかが描かれていくのですが、なるほど、あれほど細やかに検証を重ねていた前半部だけでは、犯人の深層に迫ることが出来なかったのだな、と後になって気づかされます。狂気から狂気へ、という橋渡りは僕は読んでいて面白かったのですが、ダレているという声も多いみたい。
 いやしかし、最後に残された真相には驚かされた。これは新基軸にして強烈なトリック。専門知識が必要だろうがこれには納得。当時の現場の絵を想像すると、冷酷な犯行の描写で恐怖感が凄いです。「防弾ガラスを振り子のハンマーで外から叩いて衝撃を真っ直ぐ伝えて撲殺しました」という一行の説明で済んでしまう。つまりある意味、タイトルそのまんまで、バカミスすれすれのトリックだとは思うのです、流石に。しかし科学的裏づけはされているわけで、その点でも「密室」の完成度に関しては言うことないですね。

【◎】「新クロサギ 11」黒丸・夏原武

2012年03月05日 21:53

 病床の岸川が残した置き土産、公証人の犬伏が初登場!
 アル中の公証人・犬伏と黒崎の因縁とはーー!?
 貧困ビジネス詐欺、出会い工作詐欺、カード現金化詐欺の3編ともにまさに現代日本にはびこる最新手口に肉迫!
 現代日本に生きる者すべてが読むべき知識満載の大人気コミック最新刊!

 ということで、読みました。
 世直し、というほど世間のためではない、人助け、というほど誰かのためでもない。自分が「悪いこと」をしているのは重々承知、けれども自分が動かないことには不幸な人間が増えるだけ。黒崎の行動理念を感情だけで、或いは理論だけで解こうと…、説こうとしても、それは恐らく、無駄。それとも無意味なだけなのか。この物語の冒頭で、誰かが呟いていたか、詐欺師が詐欺師を食らう…、それはエサなのだと。食い扶持ではない、食い物、そのものなのだと。だから彼は、腹が減れば、食う。喰わずにいると、死んでしまうのだと。哀しき矜持、だ。
 まあ、今更なことですが。


【◎】「館島」東川篤哉

2012年03月05日 17:19

 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘に再び事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう!瀬戸内の孤島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致で描いた意欲作。驚愕のトリックが炸裂する本格ミステリ。

 ということで、読みました。
 東川氏はロジック主体のミステリもトリック主体のミステリも書ける人だと認知されているのは疑いようもない事実ですが、本作の場合は、もう、誰が読んでもトリックメインのミステリ。それもガッチガチの物理トリック! 久しぶりの「大型トリック」を楽しませて頂きました。冒頭と序盤に挿入された図面…、ミステリを読み慣れた人なら、梗概と図面だけでトリックの外枠が分かってしまうんじゃないかというくらいの強烈なギミックが発動します。しかし、そこんとこのパズルだけで終わっていなくて(もうミステリのため、というか、トリックのためだけに作られた様々な「館」を見てきた身としては、もうひとつ以上の突っ込んだ理由が欲しいわけですよ、そりゃあ)、色んなところに細かい目配りがされているので、最後まで面白かったです。
 と思うがままに書いてしまったが、大丈夫だろうか。館の見取り図を見ればトリックが分かってしまう、だなんて記述の仕方はネタバレと取られても仕方がないのですが、いや実際、殆どの人は「ああ、これが多分こういうことになるんだろうなあ」くらいのことは察してしまうと思うのです。多分、作者はそれを承知で本作を書き切っている。それはトリックの分かりやすさ(客観的なバレやすさ)だけが本書の面白さではないということを読者に託されたのだろうと信じて(だって「館の軸を支えるかのように存在する螺旋階段」なんて、そんなもの…、どっかが動くに決まってるじゃないですか!(笑)凄いのはそれを更に外側から捉えて「ネジとナット」に見立てたところ!)、僕は愚鈍に面白がったということにしておこうと思います。
 やっぱりいつもの軽い読み口、ちょっと滑り気味のギャグも、こんなトリックミステリには良い味。


【○】「CLOTH ROAD 11」OKAMA・倉田英之

2012年03月04日 17:07

 ガーメントの欲望溢れる計画で、惑星の大半が死滅してしまうことに! それを阻止するために、彼の子供であるファーガスとジェニファーは非力でありながらも、さまざまな手で立ち向かう。これまで出会ってきた仲間たちから得た、たくさんの技術や知識を駆使しながら。だが、二人が選んだ最後の手段とは……!? 長い間、自らの身体を犠牲にし、ドレス・スカイのコアとなり、惑星を守っていたアルジャンヌは、ついに最後の選択をする。天才的デザイナーで夫のガーメントか、それとも非才なファーガスとジェニファーか。そして子供たち二人の長い旅は終わる……。

 ということで、読みました。
 最終戦。彼ら彼女らは、一体、何と…、誰と、戦っていたのか。壮大なスケールと同時に、視線は、眼前。あの夫婦もあの姉弟も、納まるべきところにきちんと収まったという感じがします。あの親にしてこの子供たち、という表現が正しいのかどうか、怒涛のスケールの親子喧嘩にも終止符。天才がその才覚を信じるが故に、最良の選択肢が最善となり得なかったために世界の反発を招いてしまったのだけれど、最後には選ぶことの出来る最高の方法を取らざるを得なくなったところが「彼女」の勝ち、なんでしょうかね。
 ともあれ、大団円。すっぱり一言で「ハイ、めでたしめでたし」ではないところに説得力を持たせつつ、夢のある終わり方でホロリ。


【○】「CLOTH ROAD 10」OKAMA・倉田英之

2012年03月04日 17:03

 ドレス・スカイ再構築のために、ロイヤルカストラートを占拠したガーメント。新しいプログラムに書き換えられてしまえば、世界は彼の手中に! それを阻止するため、ファーガスとジェニファーはトップブランドの連合軍を率いてガーメントを追うのだった。だが、そこで目にしたのは、カストラートの人達の神経繊維で作ったドレス・スカイに使われると思われる巨大な糸の繭……。ガーメントの元へと急ぐ一行だが、数々のトラップが仕掛けられファーガス達は次々と仲間を失っていく。さらに、彼の第二の師であるトーガは、消された記憶を取り戻しガーメントに協力しようとしていた。

 ということで、読みました。
 もうなんだか画面の中で何が起きているのか良く分からないけれど、何か大きな目的のために誰も彼もが必至になって戦う熱い展開がひたすら続くのは読んでいてなんとも心地良いものを感じずにはいられない。「クライマックスの連発」てのはどんな漫画で読んでも良いものですよね。
 そしてその丁度反対側の感情を読者にもたらす最強最悪のあの男ですよ。才能だけで生きているあの男さえいなければ、この世界には幾らでも選択肢が生まれただろうに、と責任を転嫁したくもあるあの最悪最強の男ですよ。過去と現在が交錯する物語、ああしかし、アルジャンヌが決意をしたその瞬間の動機だけは、不覚にも納得してしまった。あの莫迦男にほだされたんじゃなかったんだね! あの莫迦男はやっぱりただの莫迦男だったんだね!(笑)


【○】「CLOTH ROAD 9」OKAMA・倉田英之

2012年03月04日 17:00

 世界を支配していたファッションブランドは、宇宙より降り注ぐ有害光線から星を守るため、“ドレス・スカイ"と呼ばれる服を星全体に着せた。ガーメントはドレスの再構築を企てるが、実行されれば星の天井は崩れ、多くの地域に被害が出てしまう。ファーガスとジェニファーは彼を追って、ドレス・スカイの中心部があるカストラートに向かった。ガーメントは、かつて“師"と呼んだデザイナーのトーガに再会し、彼から奪った記憶を戻す。トーガの中に蘇るのは、ドレス・スカイ計画に関わる全ての情報と、ある少女との出会い……

 ということで、読みました。
 アルジャンヌ、少女少女しているのは意図的なものなのでしょうかね。現代との雰囲気のギャップというか、あの世界最悪な男にほだされてしまったんだろうなあ、と目を細めてしまいたくなるのは読者の多くに共通した感想なのだろう、きっと。…兎に角、この物語は人間の才覚、才能、に関することに執拗なまでに固執して描写することによって、人類の敵が一体、何であるのかが誤魔化されているのが面白い。あの世界最悪の男(笑)じゃあ、ないはずなんですよ。奴は本当は救世主になり得る才覚しかない天才なのに、どうして天災になっているのか。


【○】「難民探偵」西尾維新

2012年03月03日 21:02

 西尾維新が生み出す、新たなスイリ小説登場!
 就職浪人×超人気作家×難民探偵=??
 就職浪人の窓居証子は、叔父で人気作家の窓居京樹の家へ、やむなく半年の期限でお手伝いとして住み込むことに。そんなある日、根深陽義なる怪しげな人物の身元引受人をという警察からの連絡が、京樹の携帯に入る! その一本の電話が、すべての始まりだった!

 ということで、読みました。
 難民って! どんな探偵やねん! と誰もが思うに違いないタイトルですが、開いてみればなんのことはない、実に現代らしい「浪人」ですね、こういうのは。そして、読んでいて面白いのですが執拗な枕営業…! 全然事件が始まらない…! いや、登場人物の人となりというか、なれそめというか、考え事の盗み聞きというか、そういうところが読んでいて面白いというのはいいことだと思うのですが。ついつい本格ミステリを気取ってみた、みたいな本編はあまりにあっさりとした読み口で、言葉遊びが過ぎる安心の西尾維新クオリティも、今回はなんだか、とても、普通。しばしば小説の媒体で遊んでしまうのは頂けないと思わないといけないのかもしれませんが、本書に関して言えばそれは普遍ではなきにしもあらず、ということか。
 ところで、「スイリ小説」って、なんぞや。




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