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【○】「かんなぎ 7」武梨えり

2012年04月30日 19:57

 読みました。
 実に3年半ぶりの続編刊行ということで、おめでたいやら読者は復習を迫られるやら。
 冒頭の「幕間」は書き下ろしということで、なんだか懐かしいような、しかしいつものナギだーと安心感も。ほろり。
 本編の方は、先急いでいる感覚が大きくて、本書だけ読むといささか色々と唐突な展開であるようにも見受けられるのですが、もちょっと丁寧にお話を描いて欲しいなあ、というのが正直な気持ちです。でもこれって、臨機応変にというか思わせぶりにというか、そんなことは前々から多かったわけで。良い意味で「なんとなく伝奇」は以前継続中。


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ホリデイはプライスレス

2012年04月30日 19:50

■久しぶりのまともな休日。
 外食したり買い物したりバルサンしたり楽しく忙しい休日。
 炊飯して洗濯してクルマのオイル交換して資源ゴミ出しして冬物の片づけして風呂掃除まで。
 色々スッキリすると心もすっきりしますね!
 休みだからって呆けたようなことだけしてたら、結局非生産的なことにしかならないですものね! 幾ら消費型社会が台頭しているからって、我々庶民はまずはそれを受け入れるスペースを確保しないことには何も始めようがない。気持ちの整理も同時にできたような気がする休日でした。充実。

■5センチ。
 |iiiiIiiii|iiiiIiiii|iiiiIiiii|iiiiIiiii|iiiiIiiii|

■掃除をしながらちょこちょこ伺って、最後まで再生してしまった動画。
 

■それいけアンパンマン。
 涙が出るほど笑ったww


■続けてこれを見て、お腹痛くなった。

126

2012年04月28日 20:48

 田んぼ道を散歩していると、見たことのない虫がいた。
 毛のない毛虫のような黒い胴体に、やたらと細長い足が生えている。
 気持ちが悪くなり、落ちていた棒切れでそいつを叩く。
 すると虫は、
「ピキャ」
 と鳴いて、ふたつに分かれた。
 それぞれはくねくねと逃げていった。
 細長い足を残して。
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暑いのやら

2012年04月28日 10:46

■石油ストーブがまだ置いてあるのに気づいたら扇風機が稼動している。
 不思議なものです。
 4月末から5月頭って、毎年、こんな感じな気がする。
 コタツとかも、例年なら、そう。

■デジタルな音楽作りって、ある意味、こういうことをいうのかもしれない。

125

2012年04月27日 23:44

 ついに空気中の成分を解析し目視することに成功したという学者に取材に赴いた。
「それでは、早速ですが研究の成果を御覧頂こう」
 学者が取り出したのは蓋がされた小さなビーカーやフラスコだった。
「これは?」
「御覧の通りです」
 彼は胸を張ったが、素人の私には違いが分からない。
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【○】「マージナル」神崎紫電

2012年04月26日 22:45

 殺人や拷問を愛好する異端者たちが集うアンダーグラウンド・サイトの管理人である月森高校二年生の摩弥京也は、巷を騒がす連続殺人犯と偶然ネット上で知り合った。彼からとある惨殺画像を受け取った京也は、その死体がクラスメイト南雲小百合のものだと気づき、結果、犯人から狙われることになる。小百合の葬式で彼女の妹・南雲御笠と出会った京也は、御笠に犯人捜しを手伝わせて欲しいと請われ、二人は事件を独自に調べ始める……。圧倒的な筆力で贈る新感覚サイコ・サスペンス! 第一回小学館ライトノベル大賞・大賞受賞作。

 ということで、読みました。
 ラノベらしからぬ、日常と非日常の境界線を描いたひとつの形。もっとどす黒く描ききることもこの作者なら出来たのだろうけれど、レーベルの制約があったのでしょうね。それでも想像に余りある異端の主人公は物凄く不安定で、この話の世界観には同一視してなんら遜色はなし。境界線の狭間に揺れる主人公という立ち位置は数あれど、こういう突っ込み方は珍しいかも。テーマがストレートなサイコサスペンスなので、ミステリとしての物足りなさが少々、それから殺人鬼の美学にももうひと押し欲しかったような。
 あとギャグパートは不要でした。「ド○ルドマジック!」とか…。


124

2012年04月24日 22:53

 いつもなら柔和な笑みを浮かべていた月が、
 最近はなんだか、
 口角がきつい嫌らしい笑みをしているように思う。
 昨夜はとうとう、唇の端から歯を覗かせていた。
 何がそんなに可笑しいのだろう。
 今夜も月は見えそうなので、
 次にあんなふざけた態度を取ろうものなら、文句を言うつもりだ。
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【◎◎】「クジラの彼」有川浩

2012年04月23日 22:36

 『元気ですか?浮上したら漁火がきれいだったので送ります』彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編も収録した、男前でかわいい彼女たちの6つの恋。有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。

 ということで、読みました。
 自衛官の恋愛模様。そんなフレーズだけでは、どうにも泥臭く古臭く聞こえてしまうのですが、有川氏の小説を読むと若さのオーラがびしびし伝わってきますね。ストレートで、正直で、でも表に出す感情は素直じゃなかったり、また社会的な地位や環境の特殊さが恋愛の自由を束縛したり、本当に大変そう。でもどんな荒波も越えていけそうだという前途がそこかしこに伺えて、実に良いロマンスだなあ、とニヤニヤしてしまいます。ラブコメ、というからかいを大真面目に描き切ってしまう有川氏の手腕には脱帽。
 どのお話も甘々です、ご注意を!


123

2012年04月23日 18:32

「わあ、みずたまりがいっぱいだ!」
 雨上がり、幼稚園へ息子を迎えにいく。
 道に沢山できた水溜まりに、長靴を履いた息子は両足を揃えて何度も飛び込んでいく。
 バシャン。
 バシャン。
 水が跳ねて泥だらけだ。
 仕様がない、帰ったら、直ぐにお風呂だな…。
 バシャン。
 バシャン。
 ドボン。
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122

2012年04月22日 20:42

「ただいま。頼んでおいたもの、作ってくれる?」
「ああ、それなら、もうできてるよ。ちょっと待ってて」
「え、できてるって、それは」
「ほら、ちゃんと作っておいたから」
「…貴方、これ、冷蔵庫に入れてたでしょ!」
「うん」
「馬鹿馬鹿! こんなの、ホットケーキじゃない!」
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【◎】「カッパの飼い方 8」石川優吾

2012年04月22日 15:40

 ビー玉、メンコ、川遊びetc.…。懐かしい風景と重ね合わせながら、「私」とかぁたんは老河童カーさんとの日々を楽しんだ。だけども都会の生活に疲れ、カーさんは田舎に帰ることに…。「今度はいつ逢えるのだろう」そんなぽっかり空いた心のすき間を埋めるように、ちょっとだけカラ元気な、ふたりぼっちの新しい生活がはじまる。

 ということで、読みました。
 今回はなんだかやたら面白かったです。かぁたんがやってきて1年、ということで、カッパの観察記にも色々と新しい発見が登場してきて、これまでなんとなく(読者も)知りつつあったカッパの意外な一面が幾つも登場。これが非常にコミカルで、しかもなんとも日常的。大体がフィクションなのに、「そういうこともあるのか」と納得させられてしまうのが可笑しいやら悔しいやら。
 一方で、天然カッパのカータンのエピソードの数々に心が揺れる方もいらっしゃるのでは…。本当、都会と田舎って相容れないことが多いなあ…。


【○】「カッパの飼い方 7」石川優吾

2012年04月21日 12:36

 かぁたんを飼い始めてもうすぐ一年。「私」の家にはもう一頭、捨てられた西洋河童のピエールがいる。しかし、ピエールは五歳になったら駅前のフランス料理屋に奉公に出す約束になっていたのだ。ピエールが去り、少しさびしくなった「私」の家におとずれたのは……!?

 ということで、読みました。
 レトロというか、ノスタルジックというか、現代では思い返すばかりでリアリスティックに欠ける1970年代、しかもその日本では人間とカッパが共存している。「昔話」の多くがファンタジーであることの逆説であるように、本書の中で当たり前のように語られる「現代」の話。現代人は行き急ぐあまりに、懐かしさに飢えているようにすら思うのですが、それが老若男女、変わらずにあるのではないかとふと思ってしまい、可笑しくなりました。
 前巻で、すわ窮地かと思われた老ガッパのカータンの続報もありますよ。


121

2012年04月20日 23:23

 待ち合わせのアーケード街のいつもの場所で、彼女は先に着いて待っていたようだった。
「ごめん、遅れたかな」
「ううん、時間通りだよ、大丈夫」
 そう言って彼女は笑う。
 けれど、傘の下で彼女の身体はしっとりと濡れていた。
「じゃあ、行こうか。何処がいい?」
「濡れないところ」
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【◎】「レインツリーの国」有川浩

2012年04月20日 22:31

 きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった―。

 ということで、読みました。
 恋愛小説としては勿論、社会的な課題提起としても有川節が炸裂している佳作。難聴をテーマに、幾らでも重く暗く描くことが出来るのに、ストレートに感情や言動を描写することによって、読者も率直に「考えさせられる」タイプの小説に仕上がっている。ネットを通じた主人公たちのやり取りもイマドキのもので面白いし、すれ違いや悩み事に向かうスタンスも分かりやすくて物語性は抜群。
 こういう本を読んで、なんだか漠然と分かった気になって、それでそれきり、そのテーマから読者の思考は離れていってしまうのが常なのだけれど、是非とも普段、当たり前であることがそうでなくなるケースについて、受け身で「考えさせられる」だけではなく、たまには「考える」切っ掛けにしたいと思う。


100000

2012年04月20日 19:27

 細々と続けていたブログ「ミステリ不全症候群。」100000アクセス達成。ありがとうございます。
 密かに、密やかに、こうやって続けてこられたのもこのページを見てくださる誰かのおかげだと思っております。本当にありがとうございます。当然、自身で踏んだ数も相当なものだろうけど、全くの一般人でも時間を掛ければ10万という数にも辿り着けるんだなあとしみじみ感じています。

120

2012年04月19日 00:00

 山奥の峠道で不覚にもガス欠した。
 買ったばかりの軽自動車を置き去りにしてガソリンを買いにいくにも、町は遠そうだ。
 携帯も通じず困っていたところに、荷物を運んでいたらしいトラックが通り掛かり、
 運転手の叔父さんが親切にも燃料を分けてくれた。
 良かった、助かった!
[120]の続きを読む

119

2012年04月19日 00:00

 牛乳飲め!
 牛乳はいいぞ! 栄養もたっぷりだ!
 身体の調子も良くなる! 頭も働いて仕事の効率も上がるぞ!
 どんな会議だって15分で解決だ!
 家庭円満、人生設計も順風満帆!
 子孫繁栄、国家繁栄!
 とにかく牛乳だ、牛乳を飲むんだ!
 牛乳はいいぞ!
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118

2012年04月19日 00:00

「貴方、今晩は何が食べたい?」
 と出掛けに妻が言うので、
「そうだなあ、思いきってきみのこと、食べちゃおうかな」
 と茶目っ気を入れて答えてみた。
 仕事が終わって帰宅すると、食卓には豪勢な肉料理が用意されていた。
 これは凄い! ところで、妻は何処にいるのだろう。
[118]の続きを読む

117

2012年04月19日 00:00

 食後、
「今度の連休、何処へ行こうか」
 旦那に問うと、
「んんーん」
 彼は歯ブラシを口にしたまま答えた。
「もう、後でいいよ」
 私はむくれて旅行雑誌に目を落とす。
「ゴメンゴメン、そうだな、鎌倉なんてどう?」
 顔を上げると、
「んんー」
 旦那は洗面所に口をゆすぎに行くところだった。
[117]の続きを読む

116

2012年04月19日 00:00

 昔から彼女は人間アレルギーだった。
 夏でも長袖、綿の手袋をして素肌で人に触れることを恐れていた。
 原因は全く不明だというが、不思議と私だけは拒絶反応が出ないのだという。
「不思議ね」
 そういう彼女の私に向ける視線は、何処か他の人と違う気がするのだった。
[116]の続きを読む

【◎】「パニッシュメント」江波光則

2012年04月16日 22:53

 高校生・郁には何かの拍子に「誰かを殺しそうな顔」をしてしまう瞬間がある。それが新興宗教の教祖をしている父親と関連があるのかどうかは不明…。父親とは長年離れて暮らし、存在を「ないもの」としているが、幼馴染みの女子高生・常磐の母親がその宗教に傾倒していることに対し、本当の事実を告げられない。何も知らず、接してくる常磐に複雑な感情を抱いてしまう郁。一方でクラスメイトの謎めいた占い少女・七瀬がなぜか、アプローチをしかけてくるが、実は、郁と父親に関しての秘密を知っているらしく…『ストレンジボイス』の江波光則が送る、ローリング必至の青春&恋愛模様。

 ということで、読みました。
 「ストレンジボイス」を読んだときにも同じようなことを思ったのですが、あいっかわらず、ラノベではやりにくいことをさらさらと書いてしまっているなあ、と感心すらしつつ読みました。エッジの利いた柔らかい素材で出来た刃物みたいな「安定した不安定な」描写。親子に宗教に恋焦がれ。これほど重ねられたら話の密度が高まらないわけはない。読み進むごとに押し寄せてくる閉塞感が溜まらない。しかし物語は読者を拒絶してはないのが、何処か他人事の空気が新しくて、また面白かったです。
 物語の収束して行く先はある程度予測が出来るものの(昔からある「父親殺し」というテーマを含んでいますね、本書は。それゆえにもラノベっぽくないのだ)、それを更に外してくる終盤の静けさ。読者は本書に安寧を求めて良いのか。


今日のフォト

2012年04月16日 15:14

 花散らしの後。また新しい花が。

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【○】「ムイミダス」清水義範

2012年04月13日 21:08

 イヤミな新語、アヤしい人名に懐かしの風俗、架空の地名。茶化して笑って解説する、辞典のパスティーシュ。
 無意味じゃありません!

 ということで、読みました。
 筆者お得意のパスティーシュ、今回は「辞書」を斬る! みたいな。軽い読み口で、しばしば当たり前に用いている言葉、言語、というものについてちょっと立ち止まって考えさせられる鋭さすら提唱する面白みはいつものこと。
 しかし本書、1990年代前半の流行語、新語、と呼ばれるものを扱う「新語辞典」であるので、2012年であるところの現在、読んでも本当の面白さは半減もいいところなのです。かえって目新しいような、ギリギリ懐かしいような…。その点、「むかしありけり辞典」などはすっとぼけたファンタジーが笑いを誘います。


おこってないよ!

2012年04月12日 22:00

■3日前は2月並みの寒さとかだったのに、もう夏日(25℃)かよ…。

■「言われるまで気づかなかった」
 よりも、
「言われても気づかなかった」
 の方がショックが大きいから心配することないよ!

■「和風」
 じゃなくて真剣に、
「和」
 を形作れよ、とたまに思う。たまにね。

■後ろ向きであっても、ちょっと振り返れば、ちゃんと前を見ることは出来る。

■面白い! 意欲作にして努力作。


 こっちが元ネタ。言葉のいらないパフォーマンス。



115

2012年04月11日 21:08

 仕事からの帰り道、路地裏の抜け道を通る。
 最寄の電車の駅から自宅に帰るのに、駅前の雑踏を避けて歩くのに丁度良い裏道があるのだ。そこは野良猫やら野良犬やらの通り道らしくて、ゴミ捨て場や児童公園の砂場なんかがところどころ妙な感じに汚れたり汚されたりしているのが目に付く以外は、割と人通りも少なくて、道幅が広い割にはクルマが通ることもなくて、夕方にてくてく歩くには悪くない雰囲気の道だった。
 その日も、個人的な話をすれば結構早くに仕事を上がれたのに、団体行動を主観的に捉える悪い風潮のおかげで少なからずな残業を「自主的に」行ったことにより、辺りはもう殆ど日が暮れて闇に包まれようとしているところだった。空気に紗が混じっていくのをリアルタイムで感じるのは嫌いではない。瞳孔が少しずつ開いていくのが分かるような、非日常的な感覚が宿っていく感じ。自ずと、人間らしさが欠けていくような、妙な気持ち。
 そういうものを感じる瞬間は、多分、意識のある程度の部分がこの世界から離れているのだろう。社会に奉仕して金銭を得ている当たり前の生活から脱却する必要性を減じているはずもないのに。普通であり、普遍であることが、不変であると信じきっている人に追随したくないという抗いの感情の、子供っぽさ。
 そういったことを意識してしまう瞬間に、僕はこの世には似合わない存在を目にする。
 大きな袋を抱えた少年だった。
 白い、大きな布の袋。赤い毛糸のニットの帽子に暗い紅色をしたジャケット。季節外れのサンタクロースのような、自分の胴よりもずっと大きな、もしかしたら自分の容積よりも大きいのかもしれないと感じさせる袋を背負って、少年が角からひょいと現れて、僕の前方を歩いていくのだった。
 気づいたのは、直ぐだった。少年の背負う袋から、なにやら細かいものがきらきらと、地面に零れていく。小さく輝く、砂のような細やかなもの。放射線を描いて後ろにこぼれるなにものかは、途切れることなく、白い袋から流れ続ける。彼の運んでいるものが何なのかは全く分からないが、でも、それが全て、この正体の知れないきらきらとしたものであるのなら、大変だ。あの袋に穴が開いたのがずっと前であるのなら、もしかしたら、少年は随分と沢山の落し物をして歩いてきたのかもしれない。
「あの、」
 そう思って、僕は少年に呼び掛ける。穴が開いていますよ、と。
「え。」
 少年は僕の方を振り返り、そして、その場でくるくると回った。その動きに合わせて少年の背後から放射線状にきらきらと細かい輝きが踊る。それを見て取って、少年は、ああ、と呟いた。そして、僕に向かって、軽く微笑んで見せた。
「いいんです。」
「でも、」
 こうしている間にも途切れることなく袋からはさらさらと、きらきらと、砂のような綺麗なものは落ち続けるのだった。彼はそれを放っておいてまるで頓着しないようだけれど、本当にそれでいいのだろうか。このままでは、彼の抱える沢山の綺麗なものがどんどん勝手に捨てられていくだけだというのに。
「いいんです、もう、落ちたものには意味はありませんから。」
「そうなんですか、」
 あまりに思い切りのよい少年の言動に、いまいち納得できずに僕はうろたえるばかりだったが、
「そうなんです。ありがとう、教えてくれて。でも、もう、それらは不要ですから。」
 さようなら、と言い置いて、少年はまた僕に背中を見せた。さらさらと、きらきらと、零れ落ちるのに任せて、少年は袋を抱え直すこともしなかった。彼の背中から地面に降り注ぐばかりの綺麗なものは、彼と共に僕から離れていく。僕はその場に立ち止まったまま、少年が遠くの角を曲がるまで、真っ直ぐにそれを眺めていた。

今日のフォト

2012年04月10日 20:25

 今日から春、ということでよろしいか?

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114

2012年04月09日 00:00

 普段、面白ことなんて全然言わない彼が、突然、こんなことを言うの。
「僕は、きみと漫才をするためにきみと一緒にいるわけじゃあ、ないんだけどね」
 なにそれ! おっかしい!
 今まで貴方と一緒にいて、そんな台詞が一番可笑しいだなんてね!
 ああ、おっかしい! 本当、信じられない! ああ、お腹痛い!
 もしかして、あれ? もしかして、ひょっとして、そうなの?
 貴方、面白いことを言おうとして、そんなことを言ったの? そうなの?
 そうなの? そうなんだ? そうなのね?
 本当、貴方って、やっぱり、詰まらない人!

113

2012年04月08日 00:00

学習机ってあるじゃん、学習机。
あれの天板がさ、天板。あるじゃん、天板。
寝るとこだよ、腕枕して。それで納得するなよ。
とにかく、天板がさ、あれが、付箋なの、付箋。でっかい付箋。ポストイットのでっかいやつ。
剥がせるんだよ、そう。一枚一枚、薄い奴な。
だから落書きし放題なわけ。
いやいや、ノート代わりにするさ、勿論。そのための天板ですよ。
教科書だけ開いておけば、ノートを一々用意する必要がないわけ。
授業中にうたた寝してよだれ垂らしてもめくっちゃえばいいわけよ。
テストの時間の直前にカンニングペーパー作っても、直ぐに剥がしちゃえば問題ないわけ。
オマエシネ、とか悪戯書きしても、直ぐに剥がしちゃえば問題ないわけ。
いつでも新品。どうよ、これ?
裏紙だって、勿論使えますよ?

今日のフォト

2012年04月07日 20:21

 トイカメラのアプリ。
 甲府市舞鶴城公園。

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112

2012年04月07日 00:00

 真夜中、缶コーヒーを買いに外へ出た。
 せいぜいが170メートルの夜の散歩だけれど、まあ、誰も通らない道の真ん中を歩いてみたり、誰も見てないのに我が物顔でそういうことをするのは、意味のないことをするのは人間だけだぞ、みたいな哲学的な思想をもたらすので、面白いといえば面白いし、詰まらない非生産的なことだと言われればそれまでの刹那的なもので、やはり面白い。
 目当ての自販機で缶コーヒーを買って、帰り道、また道路の真ん中を歩いていると、変な奴がいた。
 パジャマ姿で枕を抱えて、サンダル履きの中学生くらいの奴が道の端っこを歩いているのだ。知らない奴だった。まあ、普通の社会人からしてみれば、その辺の男子中学生が近所のどの家庭の坊ちゃんなのかなんて、知っている方が不自然なのだが。兎も角、そいつはぼんやりした顔つきでとぼとぼと歩いているのだった。
 それがまた、僕の住んでいるアパートの方面へ向けてのものだったので、自然と、僕とそいつは一緒の方向へ歩くこととなる。パジャマ姿で近所の自販機にジュースでも買いに行く、というのなら話は分かる。しかしそいつは枕を抱えて、手ぶらで歩いているのだ。これはなんだか、只事ではない。夢遊病なのではないか、こいつは。そんなことを思う。半覚醒状態で出歩くことは、結構危険なのではないか。しかし、只事ではないことに進んで近づいていくほど、僕は物好きではない。少しばかり距離を置いて、仕方なく僕はそいつに付いて行くような格好で歩く。
 一緒の方向、というか、やがてそれは殆ど僕の家と全く同じ道のりになるのではないかという予感となっていった。街灯に映る少年の姿。上下の薄青色のパジャマと、茶色の突っ掛けサンダルと、寝癖がちょっとついた頭。僕と同じ方向に向く足は、少しずつ家屋を限定していく。あと十数メートル進めば、僕のアパートの玄関が直ぐ横にある、というところで、少年はなんと歩みをやめた。途端になんともいえない嫌な予感が背筋を昇ってくる。僕は少年の真後ろで、やはり歩みを止め、呼吸をするのも忘れて彼の動きを伺っている。
 枕を抱えているのとは反対の腕が、ゆっくりと持ち上がる。その手は拳を作っており、扉に向かって振られた。
 コン、コン、コン…、ノックの音が響いた。

 目が覚めた。
 天井と、天井から釣り下がった電灯の明かり。うたた寝をしていたようだ。
 嫌な夢を見た。見ず知らずの夢遊病の少年が、我が家を訪ねてくる、夢。

 コン、コン、コン。

 夢?


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