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【○】「江神二郎の洞察」有栖川有栖

2013年06月15日 22:09

 その人の落とした『虚無への供物』が、英都大学推理小説研究会(EMC)入部のきっかけだった―。大学に入学した一九八八年四月、アリスは、江神二郎との偶然の出会いからEMCに入部する。江神、望月、織田とおなじみの面々が遭遇した奇妙な出来事の数々。望月の下宿でのノート盗難事件を描く「瑠璃荘事件」をはじめ、アリスと江神の大晦日の一夜を活写する「除夜を歩く」など、全九編収録。昭和から平成への転換期を背景に、アリスの入学からマリアの入部までの一年を瑞々しく描いた、ファン必携のシリーズ初短編集。

 ということで、読みました。
 学生アリスシリーズ、或いは江神シリーズか。その初めての短編集は、シリーズのプロローグとも呼べるエピソードから始まる。厳密に正せば25年も前の物語であり、「リアルタイム」な読者を除いてなお、作中の時代設定に郷愁に似たものを感じること必至。やはり学生が主人公であるからか、随所に「若さ」が垣間見えるのですよね。青春ミステリ、なんて言葉も似つかわしいか。このシリーズの好きなところは、作中で江神が指摘しているように、何が謎なのかを見極めることから謎解きが始まること。
 そして夏を経た語り手のアリスの、優しい心傷。 本格ミステリのシリーズキャラクターにしては珍しく(というイメージをつい抱いてしまうほど)、ひとつの事件について気持ちを引きずる描写が印象的に残ります。そういうところの描き方を繊細に費やすことって、ミステリの世界ではなかなか難しいと思う。その点、本作のアプローチは、なんだか、ぶっきらぼうだけれど、優しい気がする。




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